10/7

10時頃に起きて、昨日作ったカレーを食い、シーツを洗濯し、布団を干し、部屋をちょっと掃除した。あとはスキップとローファーの最新刊を読んで悶絶したりしたあと、下北沢へ。最高の休日か?

後で参考にしそうだなーと思ったwebサイトを開いたまま数ヶ月放置する癖があるのだけど、今日はそれを整理した。不要になったものは閉じ、必要なものは然るべき場所(NotionやChromeのブックマーク)へ。開いているウィンドウが1個になると自己肯定感が上がる。何かを成したわけではない。

16時過ぎに家を出たら肌寒い寄りの20度前後の気温で最高。例年だともうとっくに金木犀の香りがしてもいい頃だけど、猛暑のせいで後ろ倒しになっていそう。9月は秋の気分になる前に終わっちゃってたな。俺、秋やれます。やらせてください。

先週から始まった下北沢カレーフェスに参加している。ライブ前に小腹を満たすために、THREEの近くのart ReG cafeというところに入り、鉄板焼キーマカレーを食べた。スタンプ3つ目。

nevv you Act.03

シューゲイズ専門音楽メディアSleep like a pillowの對馬さんがオーガナイザーを務めるライブイベント。Blurred City Lightsが一番の目当てでありつつ、全バンド気になっていたので行くことにした。

一発目のaoihrは7月以来2回目。ギターが体調不良で来られず、同期音源を使いつつアベさんが即興でギターを覚えたてんやわんやの状態とのことだったけど、全然そんなふうに思わなかった......。ステージの至近距離に立つのが久しぶりだったので、なんか画質が良かった(?)
特に「わたしをつれていって」がお気に入り。この曲に限らないけど、浮遊感のあるボーカルとギターに激しいドラムが合わさって不思議なバランスが成り立っている気がする。

UTEROはこのイベントに出ると知ってから聞き始めた。1曲目が、詳しくない自分でもそう思うほどめちゃめちゃART-SCHOOLだった。サポート陣が豪華でズルい。夏botさんのストラトを初めて聴いたけど良いな。正直エイプリルブルーのときよりも......。
予習の段階で気に入ってた「エーテル」なんかも良かったけど、終盤のカバー曲としてSUPERCARのLuckyをやり始めて食らってしまった。本当に聴けて良かった。

その感激と記録、音がデカい!スピーカーに近い左耳から爆音を浴びて終始気持ちよくなってた。このジャンルのバンドとしてはボーカルがちょっと特徴的だなと思ってたけど、歌い姿を見てかなり良さを感じた。「oath」が良かった。なんとなくこのボーカルだからこその説得力を感じる部分がある。テレキャスのギタボとジャズマスのリードギターって編成も完璧だし。また観たい。

本命のBlurred City Lights。一曲目に一番好きな「花束」が来て一気にテンションが上がった。同期音源があるとはいえ、3人で出せるとは思えない音像。(同期音源じゃなかった......。ご本人から訂正されてしまった。自分の耳が節穴なのは置いておいて、ギター1本であの音を出してるのは凄すぎる。)音源よりもベースがゴリゴリ聞こえて良かった。低音の深いディストーションが鳴ってるシューゲイズが一番好き。そこにBCLはポップな歌メロを乗せてるからすごい。神谷さんがそもそも多才すぎるし、とんでもないバンドだという思いを新たに......。
「再生の惑星」からよりポップにモードチェンジしたのかな?という印象を持っていたけど、ライブで聴くと全然地続きだ。その収録曲「惑星」がより好きになった。キーボードが入るパートも良かった。新曲「Orange」はまさにオレンジ色の夕焼けを連想させる曲だ。秋の曲嬉しい。

いいイベントだった。次回のnevv youも行きたい。

物販ではBCLの新曲のデモとステッカーとオマケでポストカードも貰った。BCL(ブラードシティライツ)のBCL(ブッパンシティライツ)がバリエーション豊富で嬉しい。スマホケースを新調した。
あとは對馬さんのところのレーベルで出してるZINEも買った。フォトハイの回。ZINEというものを初めて手に取ったけど、いい文化だ。

 

8/6-8/13

ボカコレ2023夏

ディグっていないどころかランキングもちゃんと追ってないけど、Twitterで見つけて良かったものを少しだけ。

 

世界電力 - 警報のあった日


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爽やかなボカロックでありつつ、アルペジオとスライドを織り交ぜたフレーズにとてもオルタナ文脈を感じて、今の自分にはもちろん昔の自分にも刺さりそうな曲だ。カラッとした音色というような形容が自分にはしっくりきて、イントロなんかは特に晴天をイメージさせるのだけど、サビの雰囲気や歌っている内容は荒天。タイトルが過去形なのも上手いなと思っていて、聴くシチュエーションや歌詞の受け取り方次第で如何様にも化ける曲だと思う。歌詞やMVの中身からは作曲者本人の実際の経験が元になっているのかなと邪推してしまうけど、自分に引き寄せても聴ける。ずっとリピートするくらいには好きな曲。

 

宮口カイライ - 溟海の墓標


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思い切った曲構成で、サビで否応なくブチ上がってしまう。いまボカロでエモタナをやるならこの人だなって思う。CeVIO AIに叫ばせるのが自分には新鮮で、その点でも良かった。ピアノの音色が曲の前半と後半で全然違うのも良い。

 

椎乃味醂 - OSINT


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かっこいいな〜。一番気持ちいいタイミングで気持ちいい音がハマるように緻密に作ってんだろうなーと思う。MVの魅せ方もそう。ボカロ曲でverseという概念が出てくるのも面白い。歌詞は難解に見えてメッセージは明快で、言葉遣いの攻撃性も嫌な感じはしない。

 

しいか - アノマリーで満たして


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去年のボカコレのおかげで初投稿時から追ってるけど、明らかに音が良くなってる......。ツミキ的な音作りが良いし、MVに10年前くらいのボカロシーンの香りを感じる。

 

奈良瀬 - 七月、夏の劇場


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ギターの音が良い。影響源が自分の好きな範囲とめちゃくちゃ被っていそうなのが分かる。この人の今後も期待したいな。

 

いちた - ボーズアンドガールズ


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夏のギターロックの正解すぎる。ボカロ版プールと銃口的な。最新の重音テトってこんな感じなんだ。

 

岸辺露伴 ルーブルへ行く

めちゃめちゃ今更感あるけど、観てきた。

・序盤はいつルーブルに行くのか?とか、絵の謎や奈々瀬の謎にモヤモヤさせられつつも、とにかく画がかっこいい。露伴が一番カッコ良く見える所作、カメラワークが研究されているように感じた。

露伴と泉京香のコンビ感が良い。パリにも画で負けずに馴染んでるのがすごかった。

・パリの描写も現地の役者(?)を使ってルーブルで本格的に撮影していたのが嬉しい。問答無用でワクワクしてしまう。

・「人間の手に負える美術館じゃない」というセリフがかっこよすぎ。

・呪いとの戦いがクライマックスかと思いきや、ラストで奈々瀬と仁左衛門の話をガッツリとやってくれて、鮮やかな終わり方だった。

 

歌集

を買ってみた。前から気になっていた木下龍也。

装丁が良すぎて......

普段詩歌の類は全然嗜まないけど、ぼんやりとした憧れがずっとある。日記みたいな形で、その人が生活で感じたことを言葉として切り取って表現するってすごく尊いことだと思うし、色んな人のそれを読みたいと思う。ここ2〜3年くらいで自分の音楽体験に対する歌詞の比重が大きくなってきたこともある。そして「上手いこと言う」ことができる人にも憧れるし、上手い文章を書きたいなと思う。それが全然下手な自分は単に寒い発言を友達に投げ続けたりしてしまうのだけど。これらの点で短歌ってすごく良いフォーマットだなと。自分が実際に作ってみるかはとりあえず置いておいてまずは歌集を読んでみる。

 

と言いつつ、今日これを手に取った時のことを思い出して一首作ってみる......。



7/30-8/5

中途半端に気合を入れて書いているせいで、どうでもいいことを書きづらい。でも平日も毎日書くのはねえ...。いや、毎日書くか?しっくりくるスタイルを確立できない。少なくとも、もっと気楽に書いたほうがいいと思う。

 

cinema staff再訪

ふと思い立ってシネマの昔(2009〜2011年あたり)の曲を聴いてたけど、こんなに良かったっけ!?進撃の巨人のEDから知った流れで、中高生の頃はgreat escapeが入ったアルバムやblueprintあたりの曲ばかりを好んで聴いていて、むしろそれより前の曲はあまり刺さっていなかった(GATEはずっと好きだけどね)。今になって聴いてみると、硬質なギターサウンドとマスロック・ポストロック寄りな曲作りが今の自分の耳に合っている。「制裁は僕に下る」や「海について」あたりはマジで傑作だと思う。

こんな風に、初めにハマったアルバムから遡って前のアルバムを後から一番好きになるパターンが多い。ストレイテナーの「Nexus」とか、きのこ帝国の「渦になる」とか。

 

kinoue64 - 空間、事情、時間、事象。


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Mikgazerを初めて聴いたときと似た衝撃と、いまこの瞬間にその担い手がいるのだという感激が同時にあった。ぼんやりとして子供の歌声のようなミクのボーカルが乗ったシューゲに宅録的な規則的なドラミングと通奏低音のように流れる電子的なノイズ…...照井順政的なマスロック成分も感じて、非常に良い。見たところ非常に多作なようで、それも嬉しい。

 

Lily Fury - Hinemosphere


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まだ全然ちゃんと聴けていないけど、好きな要素が詰まりすぎている。シューゲ・ハードコア・ポストロックを横断しながら百合とSFを奏でる。名前に引っ張られているのかもしれないけど、どこか怒りのような激情も感じる。潰れたようなドラムやボーカルの音は、視聴体験の少なさゆえParannoul的と形容するしかないのだけど、かなり好きだ。

 

武田綾乃『愛されなくても別に』

作者名に加え、あらすじに惹かれて手に取った。読むタイミングがユーフォ劇場版(後述)の公開日に近くなったのはたまたま。

学費と浪費家の母親のためにバイトに明け暮れる主人公・宮田陽彩と、曰くつきの同級生・江永の生活を描いたシスターフッド。登場人物たちの言動や状況が、なんというか実に令和的だと思った。いわゆる「毒親」とか新興宗教とか、現実に自分が密接な関わりを持ったことはないにせよ、かなり嫌〜な質感を伴って現代的に描かれている。そういったものを単に悪としてよいのかという疑問は残したまま、それでも自分はこう生きるのだと歩みを進める二人の姿が痛快。物語後半で急に具体的な年とイベントを提示するトリックに感心した。その後の世の中の出来事を知っている我々にはとても皮肉的に映って、物語の痛快さを増している。

「飛び立つ君の背を見上げる」でも感じたように、武田綾乃の(特に近年の作品の)人間関係の描き方がめちゃくちゃ良い。登場人物たちはわりとドライで、どこか醒めた目で世界を見ている節がある。そんな人たちが織りなす人間関係は「一生友達!」というような無根拠な連帯感を伴わない。それでも、だからこそ、些細なことで人を救っていたり、救われていたりする。現実もそんなもんよね、と思う。

知人よりグレードの高い友人関係は、いつか懐かしさとわずらわしさに書き換えられていくのだろう。

でも、いまだけ。いまだけはまだ、自分たちは友達だった。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話)

この晴香の独白がずっと印象に残っているのだけど、ここにもそういう人間関係の描き方が表れている。

 

特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜

原作を読んだ上での視聴だったけど、なんというか良かったところがたくさんありすぎて殴り書きしかできない。

黒沢ともよさんのスキローのインタビューを読んだ上で久美子の喋り方を聞くと、相当研究されて出してる声だなーと思った。

・久石奏、謎の可愛さ。どうしてこんなに可愛いんだ?鈴木さつきも同様。久美子がガッツリ撫でるシーンが妙に面白かったけど、わかる。

・美玲が明らかに低音パートの面々と打ち解けていて嬉しい。特に葉月に対しても遠慮せず「上達した」と言えるのが良かった。葉月頑張れという気持ちにもなる。

・麗奈さんと久美子さん、なんなんですか、あなたたちの関係。

・「窓開けるの上手くて嬉しい」の意味深さ。きっと3期のキーワードになるんだろうな。みぞれの成長、特に久美子が捉えられないような形での変化の描き方が良かった。

・演奏面では、息継ぎはもちろんのこと、ピストンを押す音まで細かく再現されているのが凄かった。

・本編の要である釜谷つばめの苦手克服、久美子の手助けの仕方がらしいなと思ったし、マリンバの搬入作業のシーンは、なぜか視線を釘づけられるものがあった。

・アンコン本体は原作以上にかなり省略、チームメンバーのダイジェスト的な紹介に割り切ったのがむしろ良かった。思い返すとちゃんとした演奏シーンは冒頭の文化祭だけだ。かなり思い切った構成だと思ったけど、めちゃくちゃ綺麗にまとまっていた。

7/18-7/29

呪術廻戦

2期がすでに面白すぎる。まず作画に驚いたんだけど、1期で既に満足度が高かったものがさらに高度になっている。なんなら劇場版よりも良い気がする。原作未読なので脚本によるアレンジがどれほどのものかは知らないけど、テンポもめちゃくちゃいい。(3話でそこまで進むんですか?)もともとキタニタツヤのOPをもっと味わいたくて観始めたわけだけど、「青のすみか」に滲む切なさの正体もわかってきた。MVのキタニが夏油傑に、青い男が五条悟にしか見えない。

 

mol-74 - きおくのすみか

モルカルが自主レーベルを設立してから初のミニアルバム。先行配信の「0.1s」からめちゃくちゃ良くて、このバンドとしては珍しく夏をテーマにした曲を作ってくれたのが嬉しい。本人も言及しているように、フォトハイというか夏botさんが志向するドリームポップに近いものがあり、音楽性的にも自分にどストライクだった。ミニアルバム全体としては疾走感高め→ゆったりめの流れ。モルカルの幅の広さが出てるな〜と思った。


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21日には新宿のタワレコのインストアライブへ行った。ライブハウスじゃないのに音がまあまあ良くて驚いた。アコースティック編成だからといって音源の疾走感が損なわれることもなくて、正直舐めていたなと。特にSummer Pagesが良かった。時計のチクタク音やキーボードがなくても楽曲の強度が全然落ちなくて、むしろ音源で聴いていたときよりも気に入ったかも。サイン会では自分の言いたいことを一方的に話してしまった感はある。4人とも良いレスポンスを返してくれたけど、もういい歳だしこういう場面でいちいち緊張するのをやめたい。

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mol-74の「きおくのすみか」とキタニタツヤの「青のすみか」に絶妙な一致を感じている。タイトルに加えて、どちらも青春時代の記憶を歌っているという......。たまに生じるこのような偶然の一致が嬉しい。前にmol-74とPELICAN FANCLUBが同じタイミングでアルバムをリリースした時にもそんなことを思った気がする。

 

The Otals


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SUPERCAR的なシューゲイズと、一部の曲には中田ヤスタカ的なテクノポップが融合したような音楽性の覆面ユニットで、初めて聴いて結構衝撃的だった。ポップな歌モノのシューゲという意味ではフォトハイに通じるものがあると思うけど、また違うテイストのバンド。と思ったらフォトハイのeurekaさんが参加していて面白かった。Japanese kawaiiってこういうことですか?この曲に限らず、スプリットアルバムみたいな形で結成間もないうちからいろんなバンドとコラボしてるし、何者なんだ?中身はベテランなんじゃないかという気しかしない。


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夏シューゲとしてノウルシ、MoritaSaki in the pool、The Otalsを代表とした盤石の体制が自分の中で確立されつつある。

 

Umisaya - BLU


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simsiisのギターとベースが新しく始めたバンド。彼らのルーツをよく知っているのでニヤニヤしながら聴いてしまう。特に随所にcinema staffを感じる。とりあえず海行こう海。

 

違国日記

9巻まで読んだ。じわじわ良くなってきたな......。7巻で朝が千世のために歌うシーンが良かった。その前段、朝に告げた槙生の言葉が、最近友達と話して考えていたことと符合してかなり刺さった。

誰のために何をしたって

人の心も行動も決して動かせるものではないと思っておくといい

ほとんどの行動は実を結ばない

まして感謝も見返りもない

そうわかっていてなおすることが尊いんだとも思うよ

大袈裟なことではなく、世界中に自分に関係のないことなんてないし、自分も世界を変えることができるんだよな。

 

1巻の、日記に書きたくないことは書かなくていいし、ほんとうのことを書く必要もないという言葉をこれを書いていると思い出す。

なんか日記を書くことに対してencourageされる機会が多い。日記書くぞ!そしてみんなも書いて俺に見せてくれ!って気になってきた。日常からメモを取るべきだなとも思った。


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それに関連して、Twitterも新しいアカウントを作ってしまった......
いや、本当はもっと早く作ろうと思ってたんだけど、タイミングを逃したり、Twitterがおしまいに近づいているのがわかったりしてね......
でも作っちゃった

twitter.com

 

保坂和志『残響』

コーリング」と表題作「残響」の二つの短編が収録されている。どちらも語り手となる登場人物が多い上に目まぐるしく変わっていくので、これ誰だっけって混乱することはあったけど、それが面白かった。

どちらも、ただひたすらにここにいない人のことをそれぞれが想う話だった。それは知り合い同士だったり、全くの他人だったり、誰かを介して繋がっている人だったりするのだが、そこに直接の交流は生じていない。語り手が移り変わるごとに考え方も全く変わるのが面白くて、ただそれが一方で人と人とが真に分かりあうことはできないという孤独を表しているようでもあった。なんとなくそういった寂しさが通底しているのだけど、悲観主義的なわけではない。むしろそれでも人と繋がろうとする希望を描いた作品だと思った。シャニマスの「明るい部屋」と同じ問題を扱っている。お前こういう話好きだよなって誰かから言われそう。

7/12-7/17

タニタツヤ - 青のすみか


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一聴ではそこまで刺さらなかったけど、聴いているうちに良さがわかってきた。まずイントロのギターがオルタナのオタクとしてはとてもウキウキする作り。そしてA〜Bメロの歌を聞かせるアレンジから、サビ入りでテンポを一旦崩される感がある。最初はこれに「ん?」となったんだけど、青のイメージから想起される爽やかさをあえて歪ませているのかなと思った。この人の歌メロの乗せ方の秀逸さは「PINK」あたりからもよくわかるわけで、これは狙っていそう。カッティングの精度もすごいし、サビ終わりから裏拍で入るギターも最高。総じて、キタニタツヤの出自であるオルタナティブロックと、デビューしてからの数年で追及してきたポップが高い次元で融合した曲だと思った。

MVもすごい。「青のすみか」というタイトルの爽やかなサビで、真っ赤で動きの少ない画面を見せる思い切り。正直こういうの大好きです。「初夏、殺意は街を浸す病のように」みたいに「陰鬱な夏」のモチーフを描かせたら随一の人だと思うので、キタニタツヤの本領発揮といったところなんだろうな。呪術廻戦の話をちゃんと知っていたら多分もっと味わえるんだろう。ちゃんと映画とアニメを観ます。できれば原作も......。


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今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』

オノマトペという題材を足がかりに言語の本質とは何かという問いに迫っていく、著者のこれまでの研究を一般向けにまとめた集大成的な本。著者の思考に沿ったストーリーが軸にありながら極めて論理的に進んでいくので、飽きずにストレスなく読めた。

子どもが言語を学ぶ上で、物事の様子を写しとるオノマトペが持つアイコン性が「記号接地」に非常に役に立ち、それを足がかりとしてアブダクション推論による学習により言語を学んでいく、ということらしい。流行りのLLMは身体感覚や経験に根ざさない(接地していない)記号の間を漂流するだけのものであることや、それと対比される人間の抽象概念の学習についての話が特に面白かった。

 

pacific ocean park #1

新代田駅前の橋、良い

管梓さん主催の、ドリームポップ・シューゲイズのバンドを集めた企画。何気に新代田FEVERは初だった。

Moon In Juneはリズム隊の安定感がすごく高くて、そこに重なるジャズマスや歪みまくったストラトの音が良かった。歌を聴かせるバンドだと思うので、もっと歌詞が聞き取れればいいのになあとは思った。

aoihrはこのイベントに出ると知ってからまともに聴き始めたけど、そこで気に入った「青」をやってくれたのが嬉しかった。このジャンルで声を張り上げる人って全然いないので新鮮だし、サビ入りの轟音バーストもサビ終わりの転調もとても良い。最近の耽美派シューゲの曲たちも良かった。

くゆるは2週間前に観たばかりだけど、より近い位置で、長尺で浴びることができた。ギターの音も凄いが、ベースも他のバンドではなかなかないくらい響いてくる。真っ黒な服で俯きがちに演奏している他のメンバーに対して、半裸のドラムがエモーショナルな叩き方をしていたのも良かった。

MoritaSaki in the poolは5バンドの中で一番良かったかもしれない。男女混声の淡いボーカルが作る雰囲気が心地良いし、アルペジオによる美メロのリフレインが続くかと思ったらシューゲらしいノイジーな局面もあって、満足度が高い。前にも書いたけどメロが本当に良くて、特にShe set under the bridgeが好き。あとはTwitterの感じから中身が変わった人であることはわかっていたけど、エキセントリックなMCが面白かった。だいぶファンになった。

エイプリルブルー、管さんのギターがめちゃくちゃ歪んでた。やっぱり曲が良いな。特に「いつかの海」の収録曲が好きで、季節的にもシーサイドとかピッタリだった。新曲、イントロの轟音が印象的な「ひらいて」も良かった。早く音源化してほしい。

 

君たちはどう生きるか

公開初日に観た。以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

少年の異世界冒険譚とは恐れ入った。さすがジブリの絵作りは凄くて、死を連想させる不気味さも、生き物の群集の躍動感も、人間の生活感も、すごい実感を伴って眼前に迫ってくるものがある。今までのジブリの映像表現の集大成といった趣で、随所に過去作へのオマージュもあったように感じる。トトロの巣へ向かう獣道とか、千と千尋のトンネルとか、もののけ姫のコダマとか、明示的ではないけど類似するものが多かった。

多くのジブリ作品に一貫するモチーフとして「あの世」があると思うのだけど、今回もそう。というよりむしろ、創作された世界そのものを過去作を包括する形で描いていると思った。宇宙には色々な世界があって、現世を生きる人は、時折その入り口へ迷い込んでしまう。そんな異なる世界どうしを繋ぐ扉として本作では「塔」が現れ、「母親が中にいる」と誑かされた主人公・眞人はその中へと進んでいく。これは「千と千尋」における千尋であり、「トトロ」におけるメイとサツキでもある。身重のナツコが塔の中へ進んでいった理由はよくわからないけど、眞人と新しい家族として上手くやれないことや出産に対する不安につけ込まれて、これまでの主人公たちと同じようにその世界に魅入られてしまったということかな。

その迷い込んだ世界というのは、メタ的に言ってしまえば宮崎駿が創ってきた世界だと思う。大叔父様は明らかに宮崎駿自身を写したもので、彼は眞人に「穢れていない13個の石を積み上げてこの世界を守ってほしい」と告げる。それに対し眞人は「自分は悪意のある人間だからそれはできない」と言い、元の世界へ戻っていく。この「13個の石」というのは、宮崎駿がこれまでに作ってきた映画のことだろう。それが継承されないまま、あの世界は崩壊していってしまう。彼の息子に対する厳しさなどを鑑みれば、宮崎駿は後継者を求めてはいない、後人に期待していないという話として受け取ってしまうが、核のメッセージは「我々は結局のところ現実を清濁併せ呑んで生きていかなければならない」ということだと思う。「下の世界」で眞人は、母親(=ヒミ)に対する未練を断ち切ってナツコを母親と認め、さらに友達の作り方や周りの人たちへの感謝や思いやりの心を学んで、現実に戻っていく。つまり、創作の世界から生きる術を学び取って、現実に戻って自分の人生を歩んでいかなければならないという、ある種の強かさを伝える作品だと思った。これは本当に宮崎駿最後の作品なのかもな。

幼い頃からジブリ作品を観てきて、そして今このタイミングで本作を観れたのは良かった。面白かったです。ただ、なぜナツコがあの世界に魅入られたのかとか、あの世界で眞人を拒絶した真意とか、飲み込みきれていない部分は多々ある。色んな角度からしゃぶり尽くせる作品だと思うので今後も考えたいし、後で発売されるパンフレットとかの情報を待ちたいね。

6/19-7/11

なんか書くことが多いので、ジャンル分けする。書いておく価値のあることを取りこぼしている気しかしないので、次からちゃんと週一で書きます。マジで。

 

ライブ

Homecomings - Summer Reading

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学生限定のフリーライブ。もう相当有名なのにこういうことをやってくれるのは嬉しい。下北沢のADRIFTという新しいライブハウスに行った。満員じゃないのが意外だった。こういうジャンルのバンドのライブで毎度思うことだけど、生演奏だとロックバンドだということを実感する。一方で観客側が大人しすぎると同行者が言っていたのが面白かった。HURTS→US/アスの流れが最高だった。特にHURTSは音源収録時からの成熟をすごく感じた。アンコールは観客の希望で決まるという緩さ。メンバーもみんなニコニコしていたし、終始和やかなライブだった。ツアー本編の方もチケット取れれば良かったな。

 

下北沢近道「近道開店記念公演」

直前まで行くか迷ってたけど、同日にスパイダーバースを観に行った同行者も乗り気だったので行くことになった。オープニングアクト含めた4バンドの対バンライブ。

オープニングアクトのくゆるは、想像していたけどかなりの轟音。でも耳がキツいわけではなくて、ゴリゴリした低音がずっと身体を震わせてくる感じ。歌詞もメロディも、何曲やったのかすらよくわからなかった。

tiny yawnはギターの技巧がすごい。このバンドを聴き始めたときはわかっていなかったけど、ギターにはかなりエモの要素を感じる。ボーカルのハスキーな声質もとても良い。中村佳穂っぽいというのは雑すぎ?

水中スピカは演奏が断トツで上手かった。いわゆるマスロックのバンドを生で観たのは初めてな気がする。タッピングしながら歌えるの凄すぎる。

kurayamisakaは3月とは違ってかなり前の方で観れたのが良かった。メンバーの暴れっぷりがよく見えたし、トリプルギターそれぞれの役割がちゃんとわかった。会場の電球を割ったのには笑ったけど。開店記念公演やぞ!seasonsやfarewellがもちろん良かったけど、cinema paradisoやcurtain callもかなり好きになってきた。新曲のmodify Youthもめちゃくちゃ好き。kurayamisakaが凄い勢いで人気になっているのを見て、ここ数ヶ月は何となく逆張り心があったけど、ちゃんと真っ直ぐ好きだな。

 

映像

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

映像の一瞬一瞬の密度が異常に高くて、何か気づいていない面白い要素があるんじゃないかと不安になるほど。アクションシーンのかっこよさも抜群で、もう一回観たい!

マイルスとグエンのダブル主人公それぞれに違う世界の見え方や葛藤があるのが良くて、特に悠木碧の演技が良かった。不意に水星の魔女のノレアがよぎってしまった。親子愛、自立、運命の克服みたいなテーマが浮かんだ。

物語が動くキメのシーンの大事さって最近意識していて、マイルスが母親と心を通わせるシーン、スパイダーソサエティと決別するシーン、グウェンと父親が和解するシーンと、好きなシーンがいっぱいある。特にニューヨークの街を逆さに見て2人が言葉を交わすシーンが最高。

 

水星の魔女

終わってしまった〜。深掘りしきれていない要素はあれど、各キャラの結末を丸く収めてハッピーエンドにしてくれたのが本当に良かった。

最終話、虹色に輝いてキャリバーンを覆ったデータストームは歴代ガンダムの踏襲なのかなと予想するし、みんなを守ろうとするスレッタと全宇宙の人たちに向けて演説するミオリネの構図はUCのバナージとミネバに重なった。

誰もが嬉しい予後を送っていて(なんならこれからが始まりだけど)、こういうエピローグをずっと観ていたいんだけど、それは2次創作でやることだな。

 

安成哲三『モンスーンの世界』

モンスーン研究の第一人者である筆者が、サイエンスとしての数十年間の研究成果と、それを経て考えたモンスーンの人間社会的な側面をまとめた本。

モンスーンは難しそうだし自分の研究テーマにも深くは関わらなさそうなので避けていたけど、取っ掛かりとしていい勉強になったと思う。特に大気-植生の水循環を介したシステムがシベリアのタイガを維持しているみたいな話が面白かった。後半の人間社会の話は正直目が滑った。

 

保坂和志『プレーンソング』

都内で会社に勤めながらうだつの上がらない日々を過ごす主人公と、その友人たちの何でもない話。本当に目立った事件が何も起こらない平坦なストーリーなんだけど、なぜか読ませる力があった。作中の80〜90年代の空気感も含めて、終始「なんかいいなあ」と思っているうちに終わる。起伏があるとすればラストの海に行く場面だけど、それすらもただぼーっと過ごすうちに終わって行くだけ。そういう、何気ないけどふと思い出される時間を切り取ろうとする姿勢が伝わってきたし、実際に映画撮影をしている登場人物にそれを語らせていた。

保坂和志の他の作品も読んでみたくなったし、海に行きたくなったな。今夏、他の人間を誘って行こう。

 

ヤマシタトモコ『違国日記』

Twitterで見かけた一コマが無性に気になって買ってしまった。中学3年時に不慮の事故で両親を亡くした少女・朝と、そのおばで小説家である槙生の共同生活の話。物語の起伏は目立ったものではないけど、それぞれ不器用さを持った登場人物の感情の機微や絶妙な台詞回しがなんとなくハマって、一気読みしてしまいたいというふうでもなくじわじわと読み進めている。と言いつつ6巻まで揃えてしまったんだけど。

特に朝の言動に実に等身大の中学生・高校生を感じるのが良い。フィクションに出てくる中高生ってどうしても現実よりも大人びすぎているように見えてしまって、それが良いか悪いかはともかく、本作はよりリアルを捉えているように感じる。

 

武田綾乃『飛び立つ君の背を見上げる』

響け!ユーフォニアム」シリーズのスピンオフにあたり、久美子1年次の2年生4人組、いわゆる「南中カルテット」に焦点を当てた作品。前回は何かと文句を言った気がするけど、これはめちゃくちゃ良かった!刊行のタイミングが一番最近であることもあってか、本編よりも文章表現が良くなっている気がする。そもそも南中カルテットが好きすぎるということはあるけど、常に楽しみながら一気に読み終えてしまった。

本作の語り手である中川夏紀は自分がかなり好きなタイプの人間だ。基本的にドライでリアリスティックな考え方をしていながらも、理屈ではない熱さもあって、しかもそれに自覚的であるところ。彼女の自意識には正直なところ共感する部分もかなりあった。

ここ最近の天候の急変ゆえ完全に夏モードだったけど、本作は基本的に卒業シーズンの話だったので、読む時季が合っていたらもっと良かったかなとはちょっと思った。

 

浅野いにおおやすみプンプン

無料公開されていたので頑張って読んだ。お金を払わずに、手軽に鬱になっています。

しんどかったけどかなり満足した。自意識に囚われて身動きができなくなるしんどさは自分にも多少身に覚えがあって心を抉られるんだけど、同時にこんなので影響を受けてたまるかという気持ちもある。中高生のときに読まなくて良かったなとは思う。

浅野いにおの作品をまともに読んだことがなかったので、絵にしても言動にしても、この人が描く人間のディテール凄いんだなとも思った。

 

音楽

toe - Mother (feat. ILL-BOSSTINO & 5lack)

いわゆるローファイヒップホップ?とtoeがこんなに合うのか......。ラップはサッパリだけど、こういう切ない感じのは好き。

Blurred City Lights - 再生の惑星

歌い方やミックスのせいか、ヘヴィなシューゲイズだった前作よりもポップになったように感じる。どっちの方面でもやっていってくれたらいいな。

geentunnel - windmill

すごいシガーロス感。空間を感じる音像が良い。

Sept. - Wander Wander

前にライブで1回だけ聴いた「good wander」のサビがずっと頭に残っていて、リリース後に改めて聴いてすぐに「あの曲か」と気づけたのが嬉しかった。数あるドリームポップバンドの中でも特にストレスなく聴けるなって印象。

MoritaSaki in the pool - Ice box

基本的にボーカル含めモワ〜ンとした音像なんだけど、メロディは結構耳に残る。何日か脳内でループしてた。

 

5/29-6/18

Notionで日ごとのToDoリストと軽い日記を管理するようにしたら、ちゃんと3週間くらい続いている。そのせいでこのブログの意味が相対的に薄くなってしまった。

 

www.nicovideo.jp

これ良すぎる。面白さよりも良さが勝つのがすごい。昔からバズってたらしいけど初めて聴いた。

 

響け!ユーフォニアム

原作を大体買ってちまちま読み進めて、ようやくアニメ化された範囲を超えた。面白いんだけど、ちょっとテンション的には減速してしまったかも......。アニメの完成度が高すぎたかな。「クツリと喉を鳴らす」という独特の表現が頻繁に出てきていちいち気になってしまう。

 

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

シリーズ初見のオタクを連れて期間限定の再上映を観に行った。演出の突飛さに度肝を抜かれてそのまま置いていかれるような印象が強いけど、改めて観るとテーマはごくシンプルなものだったと気づく。アニメ本編、スタァライトを巡る物語で燃え尽きてしまった、舞台少女としては死にかけの主人公たちが、それぞれの因縁と決別して新たな目標に向かう話。列車やトマト、東京タワーのモチーフの使い方がとにかくかっこいい。終わった後に色々考察的なことができたのも楽しかった。映画は一人で観に行くのも好きだけどもっと人と観るべきだな。

 

Eight - 拒絶のファイル

拒絶のファイル

これまでのコンピ収録曲とかを中心としたアルバム。バッドアンブレラとかリトルランプライトとか、配信を待望してたのでめちゃくちゃ嬉しい。ザリっとしたギターの音と緊張感のあるコードワークが本当に好き。


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ずっと真夜中でいいのに。 - 沈香

『沈香学』初回限定LIVE DVD盤 (2DVD付)

全曲強すぎて消費カロリーが高い。「花一匁」の「一曲目感」がすごくて、アルバムのトップを飾るのにピッタリだしライブでも一曲目になるんだろうなと思う。冒頭の管楽器→ベースの激しいスラップがどこか椎名林檎を想起させて、実際にJ-POPシーンでもはやそういう地位を獲得してると思う。他では「綺羅キラー」に惚れ直してしまった。森カリオペのラップの取り入れ方と独特な歌詞がマッチしすぎてる。


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機動戦士ガンダム 水星の魔女

19〜20話あたりの展開が衝撃的すぎて、状況を整理しきれていなかったのもあって1話から見返したら、より引き込まれてしまった。各々が自らの正義にしたがって動いているのだけど、それが噛み合わなかった結果みんなが不幸になる。名前のついているキャラの死はことさら凄惨に描かれるんだけど、そのどれもが理不尽な死ではなくて、神の視点から見ている我々はそれが必然的なことだと納得できてしまって余計苦しい。だからこそ、吹っ切れて前を向き直したキャラたちが眩しい。グエルとかニカとかスレッタとかね。「対話」が一貫したテーマとしてあるのもよく分かって、確定演出というか、「彼/彼女とこの話ができたなら、このセリフが出てくるならもうこの人はもう大丈夫だ」という安心感もくれる。あと数話で物語を畳めるのかという不安はあったけど、21話から22話にかけての最終話に向かう流れが完璧すぎて、一気に王道展開になった印象がある。いろんなキャラのこれまでの言動が物語のピースとして驚くくらいガッチリハマっている。最終話はまだだけど、もう現時点で自分史上屈指のテレビアニメ作品かもしれない......。特にここ2話は何年ぶりかのリアタイをしている。あと2話ちゃんと見届けます。

 

タニタツヤ - LOVE: AMPLIFIED

LOVE: AMPLIFIED

2人のシンガーに曲を提供し2組のミュージシャンに曲を貰って、キタニタツヤのソングライターとしての側面とシンガーとしての側面を両方押し出したEP。曲を作る手が速いし、こういう嬉しいコラボを頻繁にやってくれるのが助かる。

どれも良いけど、ヨルシカのsuisに提供した「ナイトルーティーン」が一番耳に残る。歌詞に自分で歌うならこうは書かないだろうなという遊び心を感じる。コンビニぴかぴかでワロタ......。


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劇場版 PSYCHO-PASS PROVIDENCE

上映開始からだいぶ時間が空いてしまった。3期のこともあったので少し不安だったけど、面白かった!何よりも常守が自分の信念を貫き続けている様子が最新作でも見れて嬉しい。驚いたのは扱う内容の秀逸さというか、同時代性。以下ネタバレ。

 

 

 

10年続いている作品の2期と3期を繋ぐという位置づけでありながら、テーマは「法とAI」。つい一ヶ月前にもニュースになってたぞ。要するに、シビュラシステムを本格的に海外に輸出するという段になって法律関係の問題は出てくるわけであって、シビュラシステムの成功を鑑みるに法律はもはや不要なのではという話になってくる。それは常守のスタンスとは真っ向から対立していて、そこに「ピースブレイカー」という存在も絡んできて物語が展開していく。劇場版の映像に対する気合いの入りようも今作はさらに凄くて、アクションシーンも興奮しっぱなしだった。ドミネーターが活躍するのは割と終盤になっちゃってたけど、日高のり子の音声で起動しつつあの音楽が流れる演出はクライマックスでこそ。結局「ジェネラル」も人間の脳を使っていそうで、それをAIと言って良いのか(つまりシビュラもAIなのか)とか気になる点は色々残ってるけど、常守のラストの回答も含めて綺麗な流れだったのでは。ストロンスカヤ文書とか、その現実味は置いといて大好きです。虐殺器官とのシンパシーもかなり感じた。3期で謎だった部分も色々分かってきて、あんまり再視聴する気はなかったんだけど、また観なきゃなという気持ちに。続編は絶対に3期後の話だしね......。