コメティックを知る頃
コメティック実装直前くらいからシャニマスにログインする習慣がなくなってしまっていたけど、去年の年末から一気にコミュを読んでLanding Pointまで辿り着いた。
ジ・エピソード
- 自分がマネージャーの夢や将来を奪っていると「思った時点で終わり」という0か100かの思考がルカさんの潔癖さを示している。
- ルカさんがずっと尋常ではない精神状態で、プロデューサーが取った行動が正解なのか全然確信が持てない。
- 母の元に戻っていないなら、まだこの世界に未練があるはず、というマネージャーの理屈はわかる。でも、そこでルカさんに手を差し伸べる人間が本当に283のプロデューサーでなければならなかったのか......。
- ルカさんと母(八雲なみ)、どういう関係性なんだ。全然想像がついていない。母が実子の仕事についてどう思っているのかが見えてこないのが怖い。
ルカW.I.N.G.
- 283にまつわる全てのものを拒絶してもよさそうなものを、事務所への所属自体は受け入れている。それだけこの世界にやり残したことがあるということ。
- 母からの承認か、母がいた証明?を残すことか、なんにしても母との関係性が関わっているように感じたけど、よくわからない。
バイ・スパイラル
- 光と闇の二項対立をはっきりさせたまま終わるのはシャニマスらしくないと思った。この対立構造がどう変容していくかを描いていきます、という宣言でもある。
- 「闇の魔法使い」にしか救えない人がいることを示したのは重要なことだった。
- Aちゃんに代表されるように、光を拒んでしまう人もいる。そういう人たちのために斑鳩ルカ的な存在は必要で、どちらが正しいということではない。
- 283的な光の側の論理が伴いうる暴力性にはどう向き合えばいいのか?
- 樹里さんの「せめてこっちのドアは——いつでも開いてるってこと伝えたくて」という言葉が一つの答えだ。樹里さんや摩美々さんの、過去を乗り越えたからこそ出せる、各々に違った形の優しさがありがたい。かくありたい。
- 「明るい部屋」的なモチーフ大好きなので、ずっと大事にしてほしい。
- 今後ルカさんが283的な価値観へ接近していくとしたら、それまで闇に救われてきた人たちはどうなるのかが重大な問題になる。
羽那・はるきW.I.N.G.
- 郁田はるきさん、ネット上で文字面だけでセリフを見るのと、実際に声も合わせて聞くのとでは受ける印象が違った。
- 文字から感じる思慮深さが、話し振りのふわふわ感で覆い隠されている気がする。別に悪い意味ではなく。
- 鈴木羽那さん、素直に可愛いな、という気持ちになるが、底が見えない怖さも同時に感じてしまう。
- 何のモチベーションがあってアイドルをやっているんだ?何を考えているのかがわからない。
- 羽那さんには自分とプロデューサー以外の人間の存在、第三者に向ける視線が抜け落ちている感じがする。
no/ode
- ルカさんに向けたプロデューサーの「自分を許すことから逃げないでほしい」という言葉の真意をよく飲み込めていないんだけど、自分の存在が他者の何かを奪ってしまうという自責思考から解放されてくれ、ということ?
- 自分が奪われる側として傷つくことだけではなくて、奪う側になることで翻って自分が傷つくことを恐れている、という徹底的な潔癖さ。それが結果的に自分を痛めつけている状況、マジで救われてほしい。
- 最終的にルカさんがユニットを組むことに甘んじた理由は?
- ルカさんは人の善性と悪性に人一倍敏感なんだろうと思った。プロデューサーへの不信感が拭えない状態で打診されてもそりゃ反発するだろうと思うけど、だぶるはの掛け値なしの善性に触れて心が変わったんだろうと思える。
- 「線たちの12月」での灯織さんとの絡みでも、ルカさんの正義感がことさらに強調されていた。母親の教育によるものだろうと想像するけれども、バランスの取れた教育でもなさそう。この潔癖さを保ったままで、単身東京でアイドルとしてサヴァイヴしていくための心の訓練ができていなかったんだろうと。
ファン感謝祭
- はるきさんがいてよかった......。いなかったらどうしていたんですか?
- ルカさんのプロデューサーに対する態度が少しずつ軟化しているのがわかる。プロデューサーに悪意はなくて、自分から何かを奪おうとする存在ではないことには既に気づいているので、むやみに反発する理由もない。
THE (CoMETIK) EPISODE
- ここまでがマイナスをゼロに戻すための時間で、ここからようやくその先へと踏み出していく感がある。
- ルカさんの潔癖さを、プロデューサーが「人一倍、何かを好きになることができる」という言葉で肯定してくれたのがよかった。ずっと空回りっぱなしだったプロデューサーが、ようやくルカさんのことを理解してきた。
- 0か100かの思考で「思いっきり傷つくことができる」ことを素敵だと言ってくれたのが嬉しい。
- だぶるはの善性にも救われる。羽那さんのこともだんだん分かってきた。単に思い切りが良くて肝が据わっているだけだ。彼女が何か障害にぶつかるとしたらどんなことなのか、それをどうやって乗り越えるのかが気になった。
G.R.A.D.
- ルカさんが闇の魔法使い性を失いつつあることで、以前からのファンから「斑鳩ルカ」を奪うことになるという問題。
- ここでプロデューサーが強調したのが、まずルカさんが幸せになってほしいこと、結果的にファンから斑鳩ルカを奪うことになるとしたら、その責任は自分が負うということ。マネージャーと連絡を取ることで、ルカさんの思考様式に近づけたのがよかった。プロデューサーの真っ向からの善性に対して、もはやルカさんは反発することができない。
- ルカさんが変わることで自身が傷ついてしまうならそれは自分の責任で、一緒に背負うということ。傷つかないようにしようということではない。これはそうだよなと思った。
- この点において、以前からのファンを置いてきぼりにしないことは最優先事項ではない。じゃあ今後どのようにアイドルをやっていくのか。光へ転身するのでも闇のままあり続けるのでもなく、その対立を解体する形で、ルカさんにしかできない形でやっていってほしいという期待がある。
- 羽那さん、スキャンダル記事が出ること自体には動じず、央路くんが傷ついているらしいと聞いて初めて動揺する。自分に直接関係する相手にしか目が向かないこと、自分に後ろめたさがなければ何ともないさま。そういう純真無垢さこそが鈴木羽那の本質で、自分が得体が知れないと思ってしまっていた部分なんだと得心した。そこで今回、カメラの向こうのファンの存在に目が向き始めたのは大きな進歩だ。
- ただ依然として、何が羽那さんをアイドル活動に駆り立てているのかはわからない。あっさり辞めてしまいそうな感じもある。
- はるきさん、「描く」ことよりも「見る」ことが先にあっんだという発見、なんかかっこいい。言葉遣いが丁寧で心象風景が豊かな人、好きだ。
- センスの哲学の話だ。世界はなぞるべき線でできているのではない。自分を世界に開いて、世界に溢れる光がなすリズムをうまくキャッチできれば、あらゆるものが芸術性を帯びて「波」として迫ってくる。
冬が灯る先
- 外から見ている我々は普段意識しないが、283のアイドルたちは学生として同学年・先輩・後輩の感覚が染み付いていて、そこで生まれる会話にハッとする。あ、そこ敬語か、みたいな。
- バイ・スパイラルの辺りと比べたら、ルカさんの態度が相当柔らかくなってきているのを感じる。
- ただ灯織さんに関しては、ルカさんとの悶着の責任を全て自分に帰してしまっているので、生真面目な性格も相まって相当に思い詰めている。本当にかわいそうだった。そこのわだかまりが解消されて本当に良かった......。
- ルカさん、事務所の形式的なイベントとはいえ自分が与える側となり、そこで頭に浮かぶのがだぶるはであるという嬉しさ!
- 美琴さんは美琴さんで、連想する相手はにちかさん。それぞれ別の道を歩むようになったけど、決別ではない。過去は取り戻せないことを受け入れた上で、大事にし続けることを知ることができた。事務所での二人の会話シーンはシャニマス屈指の名シーンだ。よかった、本当に。
Landing Point
- ルカさんの態度がいつのまにかとっても軟化している!このタイミングで大きな心境の変化があったというよりは、プロデューサーに対して少しずつ蓄積されてきた信頼感が、このタイミングで表出するようになってきたということ。びっくりしたけど喜ばしい。
- ただ、それよりも重大かもしれないのは、ルカさんの口から「0か100かしかねェのかよ」という発言が出てきたこと。まさに0か100かで物事を捉えてきた彼女からすれば、大きすぎる変化だ。283的な、グラデーションを重んじる立場からすれば良いことなのかもしれないが、そのまま肯定していいのかは自分にはちょっと自信がない。
- 全力で何かを好きになったり傷ついたりしてきた彼女の、ありのままの感受性が肯定されていくのかと思ってた。何なら、THE (CoMETIK) EPISODEで描かれたこととちょっと矛盾するのではと思ってしまった。これからどうなっていくのかは分からないが、中庸をいくような価値観を内面化することの良し悪しについては、ルカさんについてはまだ保留にしておきたい。
- 親子関係に関する暴露話もやけにあっさりと収まったなと思ったけど、今後もっと悪い形で暴かれることになるんじゃないかと不安でならない。
- 羽那さんの、アイドルに対する原動力のわからなさは、そもそも何も考えていなかったんだということで理解される。ファンへの視線を獲得して、ファンとのやり取りがやり甲斐となり、それが羽那さんのアイドルとしての基盤を外側から固めていっている感じがある。
- それに付随して、人間1年目として「考える」ことを始め、内面も育っていく。めちゃめちゃいいな。ある意味ですごく人間らしいと思った。
- プロデューサーが羽那さんのそういう所を回りくどい前置きつきですごくハッキリ言ったのも面白かった。天性で何も苦労せずにやってこれてしまった人、というとちょっと棘があるかもしれないけど、そういう人いるよな。浅倉透さんとも共通する部分はあるけど、周囲からの受容のされ方とか、見ているものの抽象度が違う。いずれにしても、全然承認欲求ドリブンじゃないのがすごいよなあと思う。この2人に限った話ではないが。
- はるきさんのLP、む、難しい......。話の本筋はシンプルだけど。
- 表現者として自分が完成させたものには関心がなくて、その過程こそが目的だったんだということ。そのモチベーションに、何かを失ってしまいそうになることへの恐怖があったというのも印象的だ。
- ただ、そのままではアイドルとしての「引力」はない。他者との交流があってこそアイドルとして輝くし、春樹自身も精神的に安定するんだろう。
- ここでいう他社には自分が完成させたものも含まれている。それを作り出す過程の自分がどんな状態にあったとしても、出来上がった「ジャム」は主観性を失った他者として美味しくありうるし、それを別の他者へ手渡すことこそがアイドルにとって大事なことである。アイドルの創作論みたいな話だ。
- 短い期間で一気に読んだので、リアルタイムで追っていた人とは受けた印象が違うかもしれない。長い時間をかけた精神面や関係性の移ろいを味わえなかった分、多くの部分を俯瞰で見た感じがある。
- シャニマスって面白いな......と思い直しました。
- 作品世界に入り込んだ視点とメタな視点を行き来するのが、楽しくもあり難しくもある。同じ世界に住む人間として彼女たちを見たいんだけど、フィクションであるという絶対的な制約によって、どこかで無理が生じる。何らかの意図をもって創作されたものだとしてメタな視線を貫くのは面白くないが、作品に対する批判的な視線も必要。
- なんか色々文句を言った気がするし、うまく言葉にできていない部分も多いけど、コメティックまわりのエピソードは基本的に全部好きだった。
- 3人の人間性がずっと尊重されてほしい。それだけがワイの願い——。
2024年マイベストアルバム10選+α
リリース順。
- Blurred City Lights / 天使のいない街で
- くだらない1日 / どいつもこいつも
- さよならポエジー / SUNG LEGACY
- トゲナシトゲアリ / 棘アリ
- Bring Me the Horizon / POST HUMAN: NeX GEn
- 雪国 / pothos
- リーガルリリー / kirin
- Aooo / Aooo
- はるまきごはん / おとぎの銀河団
- Homecomings / see you, frail angel. see adore you.
- マイベストソング
Blurred City Lights / 天使のいない街で
2月17日デジタルリリース。名古屋のシューゲイズバンドの1stアルバム。
今国内で活動しているシューゲイズバンドの中で一番好きだ。ギターの音作りがこれぞ、という感じ。浮遊感を湛えた狭義のシューゲ的な側面がありつつ、ボーカルの主張が強い。アルバム後半にはピアノをしっかり聴かせるパートも多くて、意外に唯一無二な気がしている。フォトハイ然り、J-POP的なメロディが反映されたシューゲが結局好きなのかもしれない。
リリースの時期に引っ越しをしていて、そこの記憶と強く結びついている。新居に向かう坂道から見上げた寒空。23区内、天使のいない街......。citylightsは名曲。
くだらない1日 / どいつもこいつも
3月6日リリースの3rdアルバム。
歌詞は憤りが煮えたぎるようで、ただその方向は徹底的に自分に向いている。ぶっきらぼうな歌い方で、ポエトリーっぽい部分もあり、つい耳を傾けてしまう感じがある。エモ・激情ハードコア的な激しいバンドサウンドに久しぶりにしっかり熱狂した。
2〜3月頃は国内外のエモに興味を持って色々聴き漁っていたので、タイムリーだった。くだらない1日、ANORAK!、downtあたりばかりを聴いていた。このアルバムも引っ越したばかりの時期によく聴いていたわけだけど、何故か新しく使い始めたスーパーからの帰り道を思い出す。ダイソーで買ったエコバッグが小さい。
さよならポエジー / SUNG LEGACY
3月6日リリースの4thアルバム。
リリースの少し前に1stアルバムから順にサブスク配信が解禁されて、そこで初めて聴いて一聴でハマったバンド。ロックバンドはこれくらいシンプルでもかっこいい音が出せるんだと感動した記憶がある。言葉の並べ方が気持ち良すぎてつい歌いたくなってしまう。ティザーで聴いた「ノースロート」のサビが気に入って、リリース前にここだけリピートしていた。
これは桜の時期によく聴いてた記憶があるな〜。家の近くの緑道で。
トゲナシトゲアリ / 棘アリ
4月24日リリース。収録曲自体はシングルとして1月までに出揃っていたので、実際には3月頃から聴き始めていた。アニメ放映直前にどこかの広告で知って、なんとなく聴き始めたらハマってしまい、その後アニメにもどっぷり熱中してしまった。
〜10年代のボカロや残響系を経由した高速でマキシマムなロック。特に歌メロにすごくボカロ感を覚えるんだが、何がそうさせているのかわからない。Neru、凛として時雨、ゲスの極み乙女など、自分の中高生時代のリスニング歴とリンクして楽しかった。ある種のダサさがこのかっこよさを引き出すのに大事だと思う。
トゲナシトゲアリとMyGO!!!!!をプレイリストに突っ込んで作業中にずっと流していたのでApple Musicのトップソングがそれらで占められている。
これをきっかけに友達がベースを始めて、最終的にコピバンを組むことになったので、この作品には感謝している。一度くらいはライブに行きたいんだけど、全然当選しない。
Bring Me the Horizon / POST HUMAN: NeX GEn
5月24日リリース。フォロワーが上げていたリンクから見たジャケ写につられて聴き始めた。普段聴かないジャンルだし、周辺のバンドも全然知らないが、なぜかこれだけはリピートすることになった。高校時代にハマっていたワンオク、LINKIN PARK、My Chemical Romanceあたりを思い出しながら聴いていた。
自分は日本的な歌メロが好きなんだと最近自覚してきて、だからこそ洋楽に手が伸びづらいのかなと思うが、BMTHはそこをクリアしている...のか?単純にオリヴァー・サイクスの声が好きだ。ビジュアルも好き。ロックの形見が狭い時代に、このエクストリームなサウンドを前面に押し出してワールドワイドに活躍しているバンドがいることは希望だ...という見立ては浅いのかもしれないが、そう思った。
雪国 / pothos
6月5日リリース。初めて聴いたときは正直曲の違いがわからなくて、一聴で良い!とはならなかったが、理解したくなる引力があった。
近年の国内インディー的なオルタナかと思いきやスロウコアな印象が強い。まさにバンド名を裏づけるような静謐な空気感を演出している。東京出身でまだ20歳くらいの彼らが「雪国」への憧憬だけでこういう音像を出力できるのが面白い。雪国出身側の自分として抽象的な次元で彼らのイメージに共感しうるかというのは難しい話だが、むしろ東京の生活感が反映されたアルバムなんだろうと思っている。
「東京」のMVで写されている日野市〜多摩市の情景もそのイメージに寄与している。漏れが結局シャニマスに影響を受けたオタクだからというのもある。
リーガルリリー / kirin
8月28日リリース。独特の詩世界とジャキジャキとした音作り、それにきりんのジャケットやアニメタイアップの「キラキラの灰」などのポップネスが合わさって、癖が強いのに聴きやすい良いアルバムだ。コーラスの効いたギターがファンタジックな世界観を引き立てていると思う。
特に宮沢賢治からの影響が色濃く表れている。自分も宮沢賢治が好き、というか人格形成の段階で大きな影響を受けているので嬉しい。
Zepp Divercityのライブが今年ベスト級に良かった。(君島大空とHomecomingsとでトップ3。)ライブパフォーマンスを観て、このバンドは強烈な身体性を伴ったバンドなんだとも思ったし、テレキャスのギターボーカルが最高や......という気持ちになった。ツアーの告知で東京・大阪に加えて岩手が発表されたときは声が出た。自分と精神的ルーツの作家を同じくしたバンドが、その生誕地たる自分の郷土でライブをしてくれることの嬉しさよ。
Aooo / Aooo
10月16日リリース。ボカロ周辺のフィールドで活躍している3人と元・赤い公園の石野理子で結成されたバンドの1stアルバム。
勢いと遊び心で駆動されたようなバンドでも、流石にメンバーがメンバーなだけあって完成度がめちゃくちゃ高い。結果的にゼロ年代以降の国内のロック×J-POPを引き受けたリッチなアルバムになっている。こういうマキシマムな音楽が聴きたくなるときがある。流行ってくれたら嬉しい。
ツミキとキタニタツヤにJ-POPへの残響系オルタナティブロックの混入を期待しているところがある。
はるまきごはん / おとぎの銀河団
10月29日リリース。ファンタジックな世界観を演出しているのかと思いきや、キレッキレだなという感想が先に立つ。特に前作よりもエレクトロサウンドの応用が進んで、元来のオルタナ的なサウンドと融合して隙がない。ギターが映える「ディナーベル」が好きだけど、エレクトロスウィング的な「ゼロトーキング」やラテン的な「エンパープル」もめちゃくちゃかっこいい。
アルバムタイトル通りのメルヘンさはあるんだけど、たまにヒヤッとするような歌詞が挟まれて、何か怖いものを見据えているような印象を受ける。
全然意味がわからないんだけど、このアルバム、なんか風呂の中で再生する機会が多かった。
Homecomings / see you, frail angel. see adore you.
11月27日リリース。これが今年ベストです。
ダンスミュージックからの影響、眠れない寝室のイメージ、社会的なケアというテーマを包含した前作「New Neighbors」とは打って変わって、真っ向からのシューゲイズで海のイメージとセルフケアを歌っている。前作もベスト級に良かったけど、それ以上に自分に響く作品だった。初見の轟音で殴られたような感触はかなり忘れられない体験。
リード曲の「angel near you」がやっぱり良いな。轟音の取り入れ方が美しい。それが自分の中に見出す繊細な天使のイメージと合致する。MVの付いたはじめの3曲が終わってからは遊び心が炸裂する感じがある。グリッチノイズの混ざる電子音が面白い。エレクトロに振り切って疾走する「blue poetry」から音割れせんばかりのドラムが入った「recall(I'm with you)」までのシューゲイズパートが楽しい。ボーカルには整形されきらない宅録感もあって、意図的に残された歪さがこのアルバム全体の印象に大きく寄与していると思う。
インスト曲「(all the bright places)」からの後半パートも良い。京都アニメーションにゆかりのある2曲から、ハウスミュージック的な「Air」、そして「kaigansen」でノイズとともに終わっていく。アルバムの構成としても美しすぎる。
リリース直前にちょっと落ち込む出来事があって、このアルバムのおかげで沈み切らずに済んだ部分が真面目にある。例年よりも遅れてやってきた紅葉の時期と符合して、精神的に救われたと思う。大学のキャンパスの銀杏並木と陽光。
年末のワンマンに行くか決めかねていたんだけど、これで行くべきだと確信して、28日に行ってきた。良かったなあ。
マイベストソング
上に挙げたアルバムには収録されていないものから。気が向いたら加筆する。
米津玄師 / さよーならまたいつか!
4月8日公開
月村手毬 / Luna say maybe
5月2日公開
キタニタツヤ / ずうっといっしょ!
5月14日配信リリース
Beachside talks / Big Sky
6月26日配信リリース
MyGO!!!!! / 端程山
7月24日リリース
Enfants / Kid Blue
7月31日リリース
ストレイテナー / COME and GO
8月16日配信リリース
しろねこ堂 / 反省文〜善きもの美しきもの真実なるもの〜
8月28日リリース
BUCK-TICK / 雷神 風神 - レゾナンス
11月20日リリース
エイプリルブルー / 誰も気づかなくても
12月11日配信リリース
8/4
2024/8/3 hardnuts, ひとひら, tiny yawn, 雪国@下北沢近道

ひとひらは約3週間振り。新曲「繭」を初めて聴けた。「風船」のブラッシングの可愛さ。「ここじゃない地獄」の最後の方、轟音の中に聞こえる気がするアルペジオが、幻聴なのか本当に聞こえているのかがわからない不思議な感覚になった。この前のERAよりも狭めの箱だった分より全身に音が入ってきて、自分の立っている空間が無限に拡張されていくような感じ。ライブでしか味わえないね〜。
tiny yawnは曲間がずっと緩い雰囲気で、いい意味で肩の力が抜けていてかっこいいバンドだなと思った。「花筏」で気持ちが春に戻り、「summer hole」で夏が始まった。ギターが上手すぎるし、声が良すぎるよなあ。「眠すぎワロタ」と「腹減り」という不名誉な仮題をつけられた新曲も良かった。
雪国のステージは逆に緊迫感があった。「本当の静寂」と「東京」が良い曲すぎる。テレキャスター2本のシンプルな音であそこまでの情感を出せるのが凄い。今しか出せない輝きもあるんだろうと思いつつ、もっと化けるポテンシャルを持っているバンドな気がする。この前の1stアルバムが伝説として語られるようになるまで追いたい。
hardnuts、一曲目「空白」は他の3バンドとの接続を感じられたけど、全体としては全然違って、アジカン辺りの影響下にあるストレートなギターロックだ。ただリードギターのマスロック的な複雑なフレーズやシャウトにはthe cabsみも感じる。それを違和感なくギターロックに落とし込めているのが凄い。ボーカルの声質には飯田瑞規感があってかなり好きだ。00年代〜10年代の下北沢的な、自分のロックバンドの原体験に近いところをやっているバンドだと思う。とにかく曲が良い。音源で聴いていたときよりもずっと好きになれた。
(会場のBGMで篠澤広の「光景」とMoritaSaki in the poolが連続で流れていて面白かった。そこが一緒に流れることあるんだ。)
FUJI ROCK FESTIVAL '24
かなりつまみ食い的にしか見ていなかったので、ちゃんと聴いたバンドだけ......。
26日
indigo la end、「晩生」のパフォーマンスがアツかった。川谷絵音ってステージに寝転んだりするんだ。初期の曲だったりするのかなと思ったらつい3年前で、それにも驚いた。
家主、無精髭で半袖短パンの怪しい男が威勢のいいロックを奏でる...初めてちゃんと聴いたけどめちゃくちゃかっこよかった。ステージに止まっていたトンボを撮影するくだりが良かった。
THE SPELLBOUNDがこの日の個人的ベストアクト。BOOM BOOM SATELLITESの曲も惜しみなく演っていたけど、小林祐介のボーカルがびっくりするくらい合う。「Dive For You」が衝撃的だった。ドラム2人編成なのも良い。激しくてストイックな演奏、これは絶対にライブで見たい。
28日
syrup16g、ちゃんと通っていないのでよく知っているのが「生活」くらいしかなかったけど、めちゃめちゃかっこよかった。一旦ちゃんと聴いてみるか〜。
29日
RIDEがとても良かった。マイブラ、Slowdiveとともに「伝説のシューゲイザー御三家」というイメージが強かったんだけど、見事に打ち砕かれた。良い意味でベテラン感を感じない瑞々しい演奏だった。シューゲらしからぬ歌の上手さ。
違国日記
残り2巻くらいを残して読みかけだった。実家の猫が死んで自分でもびっくりするくらい落ち込んで、何も手につかなかったので最初から最後まで読んだ。結果的にかなり救われたし、今後も何度も読み返すと思う。
こういうスタンスで生きたいなとか、こういう人付き合いをしていきたいなと思わされる作品。色んな主題が折り重なっているがゆえに読んでいて本当に色んなことを考える。
主人公・朝に起きたことは劇的なことで、実際に大きなアイデンティティクライシスに陥っているのに、本人が自覚している最大の悩みが一見矮小に見えるというちぐはぐさが良かった。さしあたっての悩みがちっぽけなものであっても良いし、実はそれが自分の根幹に関わる問題であったりもする。
朝(15歳)と槙生(35歳)が考えること、自分がそのちょうど間くらいにいるからこそ、どちらにも共感できる部分と想像の範疇を超えない部分がある。15歳の頃ほどナイーブじゃないけど、35歳ほど経験を積んでいない。自分って本当にちょうど間くらいだな〜と思った。
何気にズッシリ来ているのが、醍醐奈々が槙生に送った手紙の話。友達とちゃんとコミュニケーションを取れているのか?自分が大事だと思っている友達は、自分が思っているのと同じように自分のことを大事に思ってくれているのか?思うだけでは足りないのでは?みたいな気持ちになった。友達ちゃんと大事にします。
化物語
ふと思い立って見始めた。世代的に通っていてもおかしくないのに、ちょっとした世界設定すら知らなかった。飯の時間に少しずつ進めている。
そして内容は...面白い!独特な画作りと小気味よい台詞回し、新鮮に楽しめる。中学生の時期にハマっていたら危なかっただろうなと思った。戦場ヶ原ひたぎさんが好きです......。
その他よかったもの
7/21
在宅
ブログを更新しないうちに梅雨入りして、そのまま明けてしまった。雨がちな時期は、せっかく引っ越したのに研究室に行かず在宅にする日が多かった。6月に入ってから切迫した締切がなくなったことも手伝って、自分の怠惰さと向き合うことになった。この期間の日記を見返したらそういう反省ばっかりで笑ってしまった。
夜は、掛け布団や寝間着が薄くなっていくにつれて睡眠の質が悪くなっていく。重量が欲しい。前の部屋よりも狭くなった&断熱性能が上がったからか、エアコンをつけないと夜間でも室温が異常に上がってしまう。最近はエアコンつけっぱなしじゃないとさすがに厳しいけど、今度は28度の設定でも朝方には寒くて目覚めることがある。今の所短パンではなく長ズボンを履くことで落ち着いている。
ギター
友達がガールズバンドクライの影響でベースを始めて、自分もギターに対するモチベーションが上がっている。桃香さんが悪いんですよ。空の箱、視界の隅 朽ちる音あたりを練習していて、まあそれなりには弾ける。ただ人と合わせるという段になって、これまでの練習の雑さや知識不足を実感している。人に聞かせたり全くせずに完全独学で3年間くらい触ってきたけど、上達度が期間に見合っていない。今からでも基礎練習をしたり理論を勉強したりするか......?あとはバンドを組みたくなってきた。ドラムとボーカルが欲しいんだけど、世の中の人たちはどうやって人を集めてるんだ?
夏
夏の風景やノスタルジーが大好きである一方で、現実の夏はどう考えても暑すぎる。最近はフィクションの中の夏しか好きじゃない。去年は夏×シューゲイズとしてFor Tracy Hyde、The Otals、Moritasaki in the pool、ノウルシ辺りをずっと聴いてたけど、今年は何か加わるかな。Beachside talksは新曲のBig Skyで化けたと思う。たくさん聴くぜ。
一方で、やっぱり暑すぎるので、外にいるととても爽やかな気分ではいられない。こういう殺意に満ちた夏の曲の方が今のテンションに合っているかもしれない。
ライブ
2024/6/15 colormal「逗留セゾン」@下北沢近道

お客さんのテンションがみんな高くて、メンバーはリラックスしていて、いいライブだった。何の新譜も提げていない、いい意味で肩の力が抜けたライブ。それでも演奏は研ぎ澄まされている。冒頭からアンセム→さまよう→大きな怪獣でもう満足。このライブで初めて聴いた病熱という曲、かなり刺さった。この動画の一曲目。
多くの曲でイントロがアレンジされてたりしたけど、どの曲かはだいたい一瞬でわかる。コード感というか、colormal筋が鍛えられてます。
2024/7/8 君島大空合奏形態 単独公演「The Sweet Torture」@神田スクエアホール
冒頭、ピアノ弾き語りのエルドで静かに始まったかと思いきや、˖嵐₊˚ˑ༄で爆発。あの妙ちきりんな曲をフィジカルに再現可能なことに驚いたし、音がでかい。曲が始まった瞬間のあの衝撃はなかなか体験できないと思う。そもそも神田スクエアホールの音響がめちゃくちゃ良かった。
生きることに付随する拷問性を歌った新曲。 上で言ったような今のテンションにまさに合致する曲だった。ありえないくらい速いカッティングに笑うしかなかった。緻密に計算された楽曲のようで強烈な荒々しさや攻撃性もある。高い演奏力があるからこそ実現できているのだと思う。シンガーソングライターというより、君島大空合奏形態というロックバンドなのだということを心得た。また絶対に行きます。
2024/7/13 Homecomings「many shapes, many echoes」w/ downt, kurayamisaka@渋谷クラブクアトロ
downt、かっこよすぎ。スリーピースのミニマルな、だけど物足りなさを全く感じさせない音の厚み。ボーカルの富樫さんの立ち振る舞いに惚れ惚れする。やっぱりunderdriveが好きだなあと思いつつ、全部良かったぜ。
kurayamisakaは5人がこんな広いステージに立っていることにまず感動。もはや何度もライブで聞いた曲群、でも過去一くらいの近さ。うんにょん氏が作るカラッとしたギターのフレーズ、ザカに唯一無二のものだなと思えてきた。modify Youthとハイウェイがマジで最高すぎる。合唱したかった気持ちはあるけど、それはザカが主役のイベントまでお預けだな。
Homecomings、ドラムの音がでかい!序盤からユーフォリアとShadow Boxerをやってくれて嬉しかった。シューゲイズっぽいかもみたいに思っていたが、多分ペイヴメントだ。正直疲れてきてたんだけど、暖かいMCからのSongbirdsで一気に元気になった。いまのHomecomingsが奏でるこの曲、泣ける。そこからUS/アス、HURTSという嬉しすぎる流れ。それぞれリリース時期が離れている曲だけど、歌っていることの本質は一貫している。この3曲、マジで大好きだ。
2024/7/14 神はサイコロを振らない「開眼するケシの花」@Zepp Haneda
友達に誘われて初のZepp Haneda。みんな神サイ好きなんだろうなーという雰囲気で、そこまでどっぷりはまっていない自分は後ろめたさを感じなくもなかった。アイドル的な売り出し方を感じ取って斜めに見てしまう部分があるけど、かっこいいよなとは思う。特に、開演前に読んだインタビュー記事で、メンバーの音楽面のこだわりの強さを知って信頼感が増した。What’s a Pop?や新曲のBaby Babyあたり、ポップだな〜と思うけど、その中にロック心を感じられて好きかも。

終演後、Zeppの駐車場や多摩川スカイブリッジへガルクラの聖地巡礼に。多摩川を挟んで川崎と隣り合う羽田という土地、改めてダイヤモンドダストの象徴としてめちゃくちゃ良いなと思った。よくないと思いつつ、神サイにダイダスを重ね合わせて見ていた部分はある。
2024/7/15 ひとひら, yeti let you notice, fulusu, österreich「ERA 22nd ANNIVERSARY」@下北沢ERA

ひとひらは3月のリリースツアー以来。やっぱりみんな上手すぎる。つくるの加速と発散、そこから国への接続、何度見ても感動するんだろうな。ひとひらの何がいいって、二つのギターのアルペジオの掛け合いと、そこにメリハリを与えるリズム隊の歯切れの良さだなと思った。ギタボの山下さんが、キャブスが自分の音楽のひとつの核になっている、自分の好みで始めたこのバンドも誰かにとってそういう存在になれたらいいと思うようになった、といった旨のことを話していた。キャブスが音楽の核なのは自分も同じだなと思ったし、ひとひらは中高の残響系との出会いと大学3年以降のシューゲのマイブームを繋いでくれたバンドだ。ずっと応援するぜ。
yeti let you notice、前に見た時は音のデカさに押されて味わいきれていなかったけど、音がいい!秋好さんのギターの音がでっかくてよかった。この出演者の中で聴くとめちゃめちゃ残響系だなと実感する。「うつくしいもの」前のまさるさんが泣きそうになってたのが印象的だった。
fulusuは初めてで、鬼気迫る演奏に圧倒された。ベースがテクニカルかつ歪みまくりでよかった。マスロックというにはかなり重厚で、神聖ささえ感じるステージだった。ほぼ知らない曲だったけど、音源化してるのかな。欲しい。
österriech。ライブで聴くとリズム隊の音のデカさとテレキャスの音の良さにびっくりする。高橋國光のソロプロジェクトという印象が強かったけど、しっかりバンドだ。鎌野愛さんと紺野メイさんのツインボーカルも良い。特にすごかったのは、スーパーベーシスト三島想平のベースソロに始まるQuestion。本当〜〜にかっこよかった。この変拍子をなんで演奏できてんの?という不思議。國光さんの肩の力の抜けたMCも良かった。やっぱりとても多くのバンドマンの憧れになってるんだなとも。バンドとしてのオーラが他と違った。
観たもの
ガールズバンドクライ
11話で最高のクライマックスを見せつけられ、そこからの最終話が痛快すぎて、吐き出したいことが特になくなってしまった。結局のところ、この作品のテーマが第一話で明示され、それを貫き通してくれたので、細かい描写以外に言うべきことがない。
メジャーデビューのタイミングで捻り出した曲がウケず、最終的にインディーに戻る選択をする流れが気持ち良すぎる。むしろ今までがうまく行きすぎていて、このままそう簡単に武道館に行けるわけはないだろうくらいには思っていたので。上手くいかないことはたくさんあって課題も山積みだけど、この5人なら大丈夫だろうと思わせるラストだった。
トラペジウム
終始東ゆうの目が怖く、大河くるみが可愛かった。亀井美嘉のスキャンダルまわりの描写にめちゃくちゃ興奮してしまった。
作品を貫くメッセージがなんなのかずっとわからず、それを考えながら観ていた。輝くアイドルは多くの人の憧れであると同時に、個人を徹底的に抑え込むような力学も伴う。アイドルの功罪を身をもって体感した上でそれを解体し、個の人間性を取り戻す話だと受け取った。東ゆうにとって、ひいては原作者にとっては、それでも目指さずにはいられないのがアイドルという存在なのだと。
10年後に振り返る写真のタイムカプセルは良かった。大きなテーマとして青春時代に育んだかけがえのない友情、みたいなものもあったように思うけど、ちょっとピンとこなかった。東ゆうは徹頭徹尾利己的でしかなかったように思い……。写真で見せた笑顔は本物だったということか。でもちょっと弱いんじゃないかと思ってしまった。
Twitterで受動喫煙しすぎてメタから入ってしまったのがもったいなかったけど、謎の引力を感じる作品だった。
ルックバック
良かったねえ……。原作の絵に近い漫画ライクな画作りだったけど、素晴らしい色彩表現と声の演技が加わって藤野と京本の感情がビシバシ伝わってきた。逆に映画化で失われた勢いもあるので、どちらの方がいいということではない。
映画という形式をとることで、原作では連続的だった現実と虚構の境目が、いくぶんハッキリ分かれるようになった。漫画内の漫画と、映画内の漫画は全く違う。原作は現実と虚構をシームレスに繋いでいて、藤野の空想があたかも現実であるかのように思わせる効果があったと思う。一方で映画では、空想は空想、現実は現実という線引きがなされていたように感じる。藤野が殺人犯に飛び蹴りするシーンもコミカルさを増していて、それに伴って問題とされていた殺人犯の描写についてある種のエクスキューズが生まれているのかなと思った。逆効果だという意見もあるかもしれないし、それはそれでわかる。
aftersun/アフターサン
いつもなら気になる映画がアマプラで公開されてもしばらく先延ばしにしてしまうんだけど、今回ばかりは比較的すぐに観た。なぜなら翌日に父とサシで飲む予定があったから。なんとなく、観ておくといい気がした。
普段は別居している31歳の父親と11歳の娘の、一夏のバカンスの思い出。子供の頃の無力感とか思い出して、色々と胸に来る内容だったが、見るタイミング(10年スケールの話)によってはもっと刺さる気がする。子供の頃の自分からすると親というものはある意味超越的で、自分は常に従属する立場。それが大人になると、親も自分と同じように悩む人間であったことに気づく。親は自分に何をしてくれて、何をしてくれなかったのか。そこから自分までは地続きであること。良くも悪くも親の選択に大きく左右されて人生を歩んできた自分。では翻って、これからの自分はどうしていくべきなのか?親に何を返して、次の世代に何を渡していけるのか?そういうことを考えさせられる作品だった。
読んだもの
クワハリ/出内テツオ『ふつうの軽音部』
面白すぎる。高一でギターを買い、軽音部に入った主人公・鳩野ちひろの妙にリアルな自意識の強さと、軽音部のいや〜な人間関係が至って軽快に描かれる。自分がぼっちざろっくに求め、満たされなかったものを与えてくれている。なぜ今まで読んでいなかったのかと思ったけど、25話あたりの一番熱いタイミングで追いつけたのがよかった。ついでにa flood of circleを久しぶりにたくさん聴いた。
理由なき反抗も好きだけど、アレンジがリッチなNew Tribe以降の方が好き。最近だと特にキャンドルソング、かっこよすぎる。
稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』
なんとなく読んでおきたかったので。自分はこの議論で想定されている若者世代のど真ん中なんだけど、全然その若者の感覚に寄り添えなかった。自分の交友関係の中で映画やアニメを早送りで観ているという話を聞いたこともなかったし、本当にそんな人たちがこんなにたくさんいるのか?と思ったけど、そうなんだろうな。別に人が倍速視聴をしようがどうでもいいんだけど、世の中の作品作りがそれに追従するように余白を詰めるようになっていくとしたら嫌だな。
もちろん「履修しておきたい」みたいな気持ちはよくわかるけど、世の中の流行りに取り残されたくないみたいなネガティブな感情に駆動されて作品を観ることはないし、自分がそういう考え方に陥らなくてよかったなと思った。むしろ最近は「こんな傑作を全く知らずに生きていた方が面白い」とか「ちょっとつまらないくらいの方が逆に面白い」みたいな考え方になってきている。単なる逆張りと言われるかもしれないし、そういう姿勢を一貫しているわけでもないけど、まあ少ないながらも楽しく作品鑑賞ができているからいいでしょう。
千葉雅也『センスの哲学』
友達が読んでいて面白そうだったので買った。「センスがいい」とされるのはどういうことなのか、そこから解放されて真の意味で「センスが良くなる」ためにはどうすればいいのかという内容。抽象的なようで、意外に実践的な話が書かれていた。
安易に二項対立に還元しないという思考様式を大事にしているつもりだったけど、1と0・存在と不在の明滅の積み重ねとして、あらゆるものにリズム=生成変化の流れを見出すという立場が印象的だった。対立のビートと、より複雑なうねりという二側面は矛盾せず両立できる。
お手本に届かないズレばかりを気にするよりも、自分に偶然的に余ってしまったズレを肯定するべきだという主張も、共感できるものであり勇気づけられる話だった。最近友達が話していた、自分がちゃんとカルチャーを通ってこなかったことに対する劣等感みたいな話とリンクした。自分が知らない知識をたくさん知っているマニアに憧れ、それを目指すだけでは、劣化コピーになって終わりかもしれない。インプットの量こそ少ないとしても、自分が見聞きしてきたものは他の誰とも共通していない。その分野の金字塔みたいなものを通っていなくても別に構わないし、これまでの人生経験の中で気付かないうちに独自の視点が育まれているはずで、それを信じるべきだろうと。単なる妥協に陥らないようにしようとは思いつつ。
6/2
残響系
キタニタツヤの武道館公演や来月に予定されているやばいイベントの告知を経て、いわゆる残響系と呼ばれてきた音楽への愛が高まっている。2010年代後半以降の残響系のフォロワーっぽいバンドを最近は聴いてた。
österreich
活動最初期から知ってたけど、the cabsに比べたらそこまでハマれていなかった。でも改めて聴くと良いな......。swandivemoriのリリース時、Apple Musicで聴くと妙に音量が小さくて、それで萎えてしまったことを思い出した。EP収録版で改善されたのかな?めちゃめちゃ良いのに、もったいなかったな。
思い返すと、自分の残響系への入り口は東京喰種へのTK from 凛として時雨のタイアップからだ。その後すぐにキャブスを知り、同じく喰種へのタイアップを機に高橋國光の再始動に立ち会えたんだから、石田スイ様様だな。
fulusu
暗くて技巧的で激情的で、サイコ〜!今までハマっていなかったのが謎。最近過去作も配信されるようになったっぽい?全部良いです。来月のライブで生で聴けるのが楽しみすぎる。
yeti let you notice
2年前くらいから聴くようにはなっていたけど、今の耳にはより馴染む。曲によって歌詞の内容に個人的に当たり外れがあるのだけが惜しい。こういうギターを弾く人間がキタニタツヤのサポートとしてデカい舞台に立ってるの、かなり希望だ。
said
USエモ、the cabs、cinema staff全部取り込んだ爽やかなギターロックとしての正統進化系という感じがする。ギターの音が良すぎる。
Ivy to Fraudulent Game
最近1st mini albumの再録版が出ていて、上記のマイブームとは別口で聴いてた。このバンドも(特にcinema staff寄りの)残響系だな。特にその再録アルバムが良くて、ここ最近はよく聴いてた。
プラネテス
なんとなくSF系のアニメが観たくなって、ちまちま観進めてる。話が面白すぎる。デブリ回収業という特殊な舞台設定を夢とか仕事への誇りとか広い題材に落とし込んで、非常にアツい人間ドラマが展開される。フィーさん好きです。
20年前の公式サイト、かなり味があっていい。
学マス
流れに乗って始めた。一人目に選んだのは楽曲で興味を持った月村手毬さん。一匹狼のストイックなエリートアイドル…かと思いきや人付き合いが極端に苦手で自制心がないことがすぐに判明する。小心者でありながら過剰に厳しく人に当たってしまうコミュニケーション力、怠惰ながらステージでは全力を出しすぎてしまうというちぐはぐさ、そういうアンビバレンスが好き。アイドルの恋愛感情を匂わせるような言動にはアイマスの古い部分を感じて白けてしまうんだけど、これはもうしょうがないかな。性別を自由に選べるようにはしてほしい......。でもキャラクターの魅力とゲーム自体の中毒性で割と続きそう。スマホは熱い。
ツミキ作のアイヴイ、よかったな......。着実に名が売れてきていて嬉しい。著名コンポーザーの起用、いつまで息切れせずに続けてくれるんだろう。田淵智也さんが来るまでは追います。
北北西に曇と往け
なんとなく新しい漫画が読みたくなり、アイスランドが舞台というだけで気になっていたので買った。17歳(というには老成しすぎている)の主人公がアイスランドで探偵業をする話。登場人物の背景やストーリーがぼんやりとしたまま進んでいく不思議な作品だ。とにかく風景描写が美しい。火山と氷河とシガーロスの国アイスランド、人生で一回は行きて〜〜。
5/14 キタニタツヤ 10th Anniversary Live 「彼は天井から見ている」

1月のNHKホール公演の直後に衝動的に申し込んだ。ライブのコンセプトからして、活動初期の曲を聴けるだろうという目算があったのが大きい。日本武道館に入るのは3回目くらいになるが、ライブは初めて。(フロアに降りないのも初めて!?)
オープニングが鯨と水星をアレンジしたキモぺジオで初っ端から笑顔に。1曲目の「I DO NOT LOVE YOU」という選曲、せり上がる足場、天井から見下ろす眼球と、コンセプチュアルさが際立つ。「聖者の行進」、武道館ライブにピッタリな(?)「パノプティコン」と、一気に大興奮状態。
そこから数曲はダンスチューン寄りのセットリストだったんだが、腕を前後に振る人たちはそれで乗れているのだろうかと思ってしまった。自分はクネクネとキモい動きをすることしかできない。特に今回は斜めから見る形で、腕を上げていたら隣の人の邪魔になるだろうと思ったので、そうする気にはなれなかった。ただキタニタツヤのライブは撮影許可が出ていることもあり、自由な聴き方をしていても浮かなくて快適だった。いや、腕を振るのが自然というのもおかしな話だけど。腕振り苦手。
前半が終わってMC。理路整然としていて聞きやすい。そして次の曲に入るとMCの内容と歌詞が接続していることに気づく。トークがうますぎる。
そしてファン投票で一位だった「落下ウサギと寡黙な傍観者の手記」。これが一位!?今のキタニタツヤが演奏するこの時代の曲を聴くのが一番の目的だったと言っても過言ではなかったので、めちゃくちゃ嬉しかった。
続いて悪魔の踊り方。リンの歌が聞こえてきて、自然とガッツポーズをしてしまった。キタニタツヤと鏡音リンのデュエット、嬉しすぎる......。夢?泣きそうになった。
極めつけは「或るキリスト者は告解室を去る、唯だ信仰のみを抱えて」(というか、羊の群れは笑わない名義で「Luther」)。この気持ち悪いアルペジオが日本武道館に響いたという事実......。セトリの中で聴くと今と地続きの曲だと思えるのも凄い。とにかく聴けて嬉しかった。この3曲だけでも観に行った甲斐があった。
そこからは最後まで、自分にとってのキタニタツヤの一番美味しい部分の詰め合わせみたいなセトリ。本当に後半は興奮しっぱなしだったな。「よろこびのうた」→「振り子の上で」の接続は自然すぎて不思議な感覚だった。特にリズム隊が重心を低く構えている感じがあって安定感があった。「スカー」のギターとか秋好さんの見せ場だと思うんだけど、ギターソロのところしかフォーカスされない。こういう曲ではソロアーティストではなくバンドとして演ってほしいなと思ってしまう。
「次回予告」でこんなに感動すると思わなかった。本人の音楽活動に対する姿勢、これからの所信表明が述べられた後の「次回予告」の一言には正直痺れた。シリアスさとコミカルさのブレンドが絶妙で、凄い曲だと思う。
新曲の「ずうっといっしょ!」、これもマジで凄いです。キモいアルペジオに始まり、イントロのファジーなギターには「こんにちは谷田さん」時代の音を感じさせる。その一方で歌詞や歌メロには今のキタニタツヤらしいポップさと不気味さが同居している。まさしく10周年にふさわしい、集大成的な楽曲だと思う。
初期曲に色濃く表れているように、キタニタツヤの出自は残響レコードから派生したようなエモ・オルタナティブロックで、それをJ-POPのフィールドに上げて勝負しているのが凄い。あんなに気持ち悪いギターサウンドで構成された「青のすみか」がバズったのは本当に嬉しくて、その後「次回予告」「ずうっといっしょ!」と癖が強くて性格も違う曲を連投しているのも嬉しい。
あのキモぺジオをJ-POPの俎上に載せたのって真面目にキタニタツヤの大きな功績なんじゃないか?自分みたいなボカロと残響系のオタクにとってキタニタツヤはJ-POP界の希望の光なんだと最近は思うようになってきた。マジで応援してます。
5/12
目覚まし
最近、目覚ましで起きられない。予定に寝坊してしまうということではなく、起きなければいけないときは目覚ましの5分くらい前に起きるし、大事な予定がないときは目覚ましに気づかず1時間くらい余計に寝てしまう。目覚ましのストレスを予見して直前に起こすホルモンの精密さも凄いなと思うが、ぐっすり眠れているのか不安になる。余計に寝てしまうのも普通に困るし、どうしたもんかね......。
ルーツ
ガールズバンドクライ6話。海老原智とルパが本格的に参加して、二人(beni-shouga)がどんな音楽をやっていたか、5人で合わせるとどんな音になるかが明らかになってきた。beni-shougaの出自がボカロ寄りであることが明言されて、トゲナシトゲアリの曲にそれが反映されていることが分かってきたのがアツすぎる。
プロデュース陣のインタビューにはこんなことが。
河原木桃香はいわゆるJ-POPど真ん中の音楽には反応しなかった子で、世代的にゲスの極み乙女。といった少し濃いめのアーティストをたくさん好んで聴いていたはず。きっとそうじゃないと、ギターを手にしないので。好きなバンドを聴いて楽曲をコピーする一方で、ボカロも聴いている世代だから、それらを融合したような曲を作るだろうと…そういうことを酒井さんと平山さんに話して、リアクションを見ながら楽曲を制作しました。
「棘アリ」の収録曲になんとなく郷愁を感じていたのは、想定される作曲者たる河原木桃香のルーツが自分とかなり重なっているからに他ならないということがわかった。2話の「ボカロとか」発言も布石の一つだったんだな。そう思って聴くと、自分の思春期を形作った邦ロックバンド・ボカロからの流れを色濃く感じる。自分の評価がコロコロ変わっている気がしなくもないが、「棘アリ」、アルバムとして改めてかなり好きになってきた。
それで思ったのが、自分が10代の頃にハマっていた音楽を簡単に言い表すことができないということ。邦ロックバンド・ボカロと言ってしまえばそれまでだけど、ここ数年でジャンルごとハマったシューゲやエモと比べて、音楽ジャンルとしての解像度が低い。だから、上記のインタビューを読んだりネットでの反応を見たりするまでトゲナシトゲアリの音楽性にも即座に反応できなかった。ここ20〜30年の国内の音楽の動向を体系的にバイアスなく理解したいという気持ちがある。
上記のインタビューを受けてここ数日は昔ハマった音楽を聴き返していた。
Neru
トゲトゲのルーツとして一番に思い当たったのはこの人。自分自身も大いに影響を受けたし、一聴で中学生の頃の気持ちが蘇る。強烈な厨二臭さも、それを聴いて自己陶酔していた過去の自分も全部愛せる。
ONE OK ROCK
「声なき魚」とかまんまこれだよなあ。
amazarashi
シューゲではないんだけど、今聴くとそのエッセンスを感じる。当時から潜在的にシューゲが好きだったのかなとamazarashiを聴いていると思う。
河原木桃香さん、凛として時雨、9mm Parabellum Bullet、cinema staffあたりを聴いていたのはほぼ確定として、the cabsとかPeople In The Boxも聴いてたら嬉しいな......。今度じっくりトゲトゲのルーツのプレイリストを(勝手に)作りたい。
『[彼女。]百合小説アンソロジー』
時間をかけて読んでいたので序盤の短編の細部を忘れてる。
織守きょうや『椿と悠』
すれ違いの描き方が丁寧で良かったけど、最後の方はもうちょっとじっくり読ませて欲しかったな。「髪」の印象づけ方が良かった。
青崎有吾『恋澤姉妹』
なんだこの短編......。「鑑賞されるものとしての百合」というテーマを過剰なほどに突き詰める作品。面白かったけど「そこまでやる?」と思ってしまった。
武田綾乃『馬鹿者の恋』
武田綾乃って結構露悪的だよなという印象が補強される作品だった。この人の作品は、こういうのよりも恋愛要素が薄い方がいいな。
円居挽『上手くなるまで待って』
これと次のやつが一番良かったな。「素性が知れないカリスマ的なサークルの先輩」が素朴に好きだ。その殻が剥がされていく話なわけだけど、その過程における主人公の役割もすごく良かった。逆転劇とでも言うべきか、そういう痛快さがあった。
斜線堂有紀『百合である値打ちもない』
斜線堂有紀作品は、社会の風潮に翻弄される登場人物の感情の動きや自己矛盾にすごく人間味を感じて好きだ。執念のあまり自分自身を不可逆に改造してしまうみたいな話も好き。乃枝の内に宿る強かさがとても良かった。
乾くるみ『九百十七円は高すぎる』
やけにモノの描写のディテールが細かいのはミステリー作家だからなのか、そこがなんか読んでいて楽しかった。逆にそれだけだったかもな。
相沢沙呼『微笑の対価』
死体埋め百合。作品世界への没入のさせ方は流石だなと思ったけど、ラストには城塚翡翠シリーズほどの衝撃はなかったな。最後にシリーズとの接点を匂わせてくるのも洒落くせ〜と思った。いや、十分面白かったけど。


