5/7-5/28

2つの学会発表が終了。自分の発表は別に失敗してはいないけど、先輩やプロの方々と比べて内容が見劣りすることや、質疑応答で上手く答えられない現状を実感して、発表直後は少し不完全燃焼な気分になってしまった。今の段階ではある意味当然だと思うので、良かった発表を参考にしてまた頑張りたい。
とはいえ去年に比べたら人の発表に対する理解度が格段に上がったし、自分も発表者側としてその輪に混ざれたことはとても嬉しかった。こちらから一方的に認識していた上の世代の方何人かに覚えてもらえたし、他大学の人との繋がりも広げられた。学会最高!!「学会準備があるから」という名目も通じなくなったので、ちゃんと解析を進めましょう。

 

Sohbana - 0-0

【Amazon.co.jp限定】0-0(メガジャケ付)

ボーイズセイハロウあたりの有名曲は単体としては好きなものの、EP全体としては刺さっていなかった、というくらいの立場だったのが、今作で見事に覆された。wowakaフォロワーとしてのボカロ+邦ロックの正統的な担い手でありながら、一聴でSohbanaとわかるくらい個性も強い。メロディもアレンジも最高だけどミックスはなんとなくアマチュア感があって、それがむしろ味わいを増している感がある。狙ってやっているとしたらすごいけど、打ち込みではなく生音で、しかもプロがミックスした場合にどうなるのかは気になる。


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サビのベースラインが良い。


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なんだこの曲?って感じ。これでリード曲を張れているのが凄い。最初に聴いたときはそんなに好きじゃなかったのに、なぜ今はこんなにハマっているのでしょうか......。

 

polly - Heavenly Heavenly

【メーカー特典あり】Heavenly Heavenly(ステッカー付)

今まであまり刺さっていなかったのに、ふと聴いた新譜で急に好きになるパターンその2。どうやらギターとベースが抜けてキーボードが入った新体制になってから初の作品らしい。陰鬱なシューゲイズという雑な認識だったけど、光や美しさのイメージを強く感じて、そこにはキーボードや女声コーラスの寄与がとても大きい。ギターの深いディストーションもまさに自分好み。メンバー脱退で失われたものもあったかもしれないけど、自分には進化だと感じられる。


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似た境遇のバンドとしてPELICAN FANCLUBを思い浮かべてしまったけど、その脱退したベーシストが今はpollyでサポートをしているらしい。PELICAN FANCLUBの方も停滞せずに進化し続けてほしい......。

 

スピッツ - ひみつスタジオ

ひみつスタジオ

バンドとしての成熟の仕方が良すぎる。特に今作はコロナ禍を乗り越えてライブや新曲のリリースができる嬉しさみたいなのが全面に出ていて、聴いているこっちもそういう気分になる。


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君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き

期待外れなのに 愛おしく

↑ここ凄すぎ

 

Stereo Fabrication of Youth - Audity

Audity

江口亮がやっていたバンドという認識はなんとなくあったけど、今まで聴いたことがなかった。ゼロ年代の邦楽ギターロックってこうだよなというのを体現している感じがして、めちゃくちゃかっこいい。三井律郎との繋がりを鑑みても、結束バンドはアジカンよりもむしろステファブの血が流れているんだなと思った。

 

Sobs - Air Guitar

Air Guitar [ボーナストラック2曲収録](LIIP-1548)

シンガポールのインディーロックバンド。後述のcolormalも然り、最近はポップスを舐めすぎてたなと自覚させられてばかり。ロックバンドであることには間違いないけど、シューゲイズとかエモとか、色んなインディーシーンの音楽を吸収してポップミュージックとして成立させられるんだなと。自分もなんだかんだポップな歌メロが好きなんだ。リード曲の「Air Guitar」がめちゃくちゃ良いし、後半から急にドラムンベース?的な展開になる「Friday Night」も攻めていて好き。


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colormal - diode

diode.colormal.net

待ちに待ったcolormalのフィジカルリリース。バンドのレビューとしては特設サイトに寄せられている夏botさんのコメントに尽きる。

オルタナティブ・ロック」なるものが当たり前のものに成り下がり、その文字通りの意味が形骸化してしまったバンド・シーンにおいては、一周してJ-POPこそが「オルタナティブ」であるように思える。

相変わらず音が良い。こんなにギターやベースの音を歪ませながらポップに聞かせられるバランス感覚。歌詞も具体的な事物を連ねる安易さに陥らず、パーソナルな体験を普遍的なテーマへ昇華させる精神が感じられてとても良い。

「在処」はシングルのときとミックスが違っていて、一層好きになった。「天国」の悲しいのに日が照りつけてるイメージといい、「塔」のアルペジオ&ベースソロからの轟音といい、音源として初めて聴く曲たちも最高です......。

一曲目に「アンセム」を持ってくる選曲からもわかる、全曲がアンセムたりうる強度の高さ。インディーシーンを飛び越えてもっと売れて欲しい......。このアルバムは本当に何年、何十年と聴かれ続けうるパワーがあります。


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花とアリス

花とアリス

高校生のときに「花とアリス殺人事件」を観てからずっと頭の片隅にあった作品。このタイミングになってやっと観た。高校生の三角関係を、恋愛感情それ自体にフォーカスせず、ここまで面白おかしく、かつ切なく描けるのがすごい。主人公2人のユーモラスな掛け合いが本当に良いんだけど、それだけではない。お洒落な劇伴に時折挟まるバレエや落語のモチーフ、そしてアリスの複雑な家庭事情と、メリハリがあって飽きない。切実だけど緩く、青春期だからこそできてしまう大胆な行動の数々......。花のキャラクターが好きすぎる。

そして今回新鮮だったのは、続編にしてアニメ映画の「殺人事件」を観てからこちらを観たこと。アニメの2人がそのまま実写で喋っている!という驚きがあった。こんなに再現できるんだ、というよりアニメでの再現度が凄いんだな。

4/24-5/6

www.ele-king.net

いいバンドだったなー本当に。こういうインタビューも清々しい気持ちで読めるくらい、美しい引き際だったと思う。教室の隅、「フォトハイ好きなの?」で始まる青春が欲しい人生だった。

 

斜線堂有紀『回樹』

斜線堂有紀初のSF短編集。久しぶりに単行本の小説を買った。SFとしてのアイデアがどれも新しい一方で、そのアイデアを単なる舞台装置として割り切るような潔さがある。あくまでも人の感情を描くことが目的みたいで、すごく推せるポイント。
「回樹」で語られる、場所は有限だから死体や墓が増えるごとに死者との距離はどんどん近づいていく、という話が印象的で、「BTTF葬送」や「不滅」でも同じテーマが語られる。もうこの世界に存在しない人やモノへの感情は、共感できない妄執もあれば少し理解できるところもあり、似たテーマを多角的に見れる面白さがあった。そして少し狂った人間を描くのが上手い。そういった点で一番面白かったのはやっぱり表題作の「回樹」かなと思うけど、そのテーマからは少し離れた「奈辺」も存外面白かった。

 

劉慈欣『円』

半年前に8割くらい読んで放置していたものを、最後まで読んだ。過剰なテクノロジーの発達や環境破壊に晒されながらもがく人類、みたいなテーマが一貫してる。「月の光」と「人生」は特に人類に対する諦観に振り切っていて、オチが良かった。「円」で出てくる人力計算機はすごく見覚えがあって、すぐに「三体」の元ネタだと気づいた。

 

響け!ユーフォニアム

弱小だった吹奏楽部に新しい顧問が赴任し、厳しい指導のもとで人間関係などに悩みながら全国大会出場を目指して成長していく部員たちの青春ドラマ。アマプラで公開されていたので、アニメ1〜2期と劇場版を全て観た。ゴールデンウィークは全てこれを咀嚼するのに費やしたと言っても過言ではない。

高校生の部活動だからこそ味わうことになる様々な苦しさや嬉しさがリアルに描写されていて、なんだか凄く食らってしまった。高校時代にあまり真面目に部活をやっていなかった自分にとっては特に眩しく映る。じゃあ吹奏楽部や運動部に入っておけばよかったと後悔するかというと、それをしなかった分勉強に打ち込んで満足のいく結果が得られたところはあるわけで、簡単に自分の高校時代を否定するのも違うかなとは思う。自分にとっての青春はそれだったと納得するべき。大変な部活動に打ち込んで入試でも現役で結果を出している人は本当に尊敬する。

それに、例えば中3のときにこの作品をリアルタイムで観ていたとして、今と同じように感動して、それこそ吹奏楽部に入りたいと思っていたかというと、それもちょっとわからない。この前「スキロー」を読んだときと同じで、やっぱり普通の学生生活が終わってしまった今だからこそ感じるものがある気がする。この前ほどしんどい気持ちにはなっていないけど。それはそれとして自分が仮に吹奏楽部に入るとしたら、普段はコントラバスを弾いて、学園祭とかではベースを弾く人になります。かっこいいので。

作品の具体的な魅力の一つとして、主人公・黄前久美子の性格がちょっと悪いのがとても良い。冷めていながら面倒な性格が根にあるので、次第に本気で練習に打ち込むようになる様子が真に迫る。京アニの描写がめちゃくちゃ優れているのももちろんある。主人公のモノローグがこんなに良い作品になかなか出会えない気がする。高校一年生から出てくる語彙か?という独白が、かえって自分の中で言語化されていない気持ちを克明に描いていると思った。

人間性は多面的なもので、初めはとっつきづらかった先輩が実はとても優しかったり、逆に親しみやすかった人に過酷な背景があったりする。その、徐々に人となりが明らかになっていく描写が丁寧。中川夏紀と吉川優子がすっかり好きになってしまった。地味に良いなと思ったのが、秀一への告白に踏み切れない葉月の背中を押した緑輝が、失恋を知って自責の念に苛まれるところ。そういう自然に起こりうる感情の動きをしっかりと描写してくれるのがありがたい。キャラクターの感情に嘘がない。その一方で、久美子の前での麗奈や、みぞれに対する希美の態度など、一言では表せない、なんなら意味不明な感情が描かれているのも大事だと思う。それぞれのキャラクターは第一印象としてはアニメ的にアイコニックに描かれるとしても、ステレオタイプなロールを演じることに終始するわけではない。それを主要キャラ10人くらいに対してやっているからすごいよね。

吹奏楽は単なる舞台装置ではなくて、演奏シーンにも頭がおかしくなるくらいの力が入っている。楽器とかには全く詳しくないけど、上手い演奏、下手な演奏が素人耳にも「音だけで」ちゃんとわかるように表現されているのがすごすぎる。舞台が京都であること自体に大きな意味はないと思うけど、京アニとの親和性は言わずもがな、京都であるからこその雰囲気は作中に反映されている気がする。

(映画「リズと青い鳥」もシリーズの作品の一つだけど、ちょっと別格すぎて、もう一度観てからちゃんと文章化したいかも。)

 

ちなみに原作も買ってしまった。全巻ではないけど、気づいたら7割くらい揃ってる......。原作では多くのキャラが京都弁なので、そのために自分の頭をチューニングするのが新鮮だった。原作を読むと、アニメでの再構成の力に感服する。単純比較はできないけど、ちょっとした描写の省略・追加が全て効果的に働いていて、総合的な完成度としてはアニメの方が圧倒的に高いと思った。その一方で、原作ではメインではないキャラの描写が厚くて、アニメではよくわかっていなかった言動の背景がよりよく理解できたのが嬉しい。今はスローペースにアニメ化していた1年生編を読んでいる途中なので、相対的に原作の方が描写が厚い2年生編が楽しみ。

 

Homecomings

何かの作品に衝撃を受けた後は、その作品以外のコンテンツを摂取したくなくなるのだけど、映画の主題歌を歌っていたHomecomingsを聴くことだけはできた。


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映画を観た後だと歌詞がめちゃくちゃ刺さった。英語の発音がそこまで良いわけでもないし、正しいイントネーションにならないような歌詞の乗せ方だと思うのだけど、それは全く悪いことではないと思う。UK・USインディーポップの文脈にあるようなサウンドに日本の歌謡曲的なメロディーが乗っていて、単なる再生産になっていない。だからこそ海外でウケているのかなと憶測する。最近はGalileo Galileiの耳になっていたので、ルーツを同じくしていそうなこのバンドに良いタイミングで巡り会えた。


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ちょうど先月に出た新譜がめちゃくちゃ良かった。この「US / アス」という曲がお気に入り。そこまで音を重ねる編成・アレンジではないけど音が過不足なく埋まっていて、聴いていて全く疲れないのに満足度が高い。サビの最後、「僕らはたまたま美しい」ってフレーズもいい。

この曲はアルバムでは2曲目だけど、後半に行くにつれてディストーションが効いてきて、特に「euphiria / ユーフォリア」は自分好みのオルタナサウンドに寄っていて嬉しくなってしまった。「US / アス」との対比も美しい。

4/17-4/23

去年はサボってしまった健康診断を受けた。身長はさすがにもう伸びないとしても、体重が前回量ったとき(いつかは忘れた)から4kgくらい減っているのが怖すぎる。食生活は問題ないと信じてるので、筋肉だろうな……。

新年度になってから、平日は大学に行って土日は休むというごく普通のサイクルが久しぶりに固まりつつある。変な時間のバイトもあるからだと思うけど、しっかり疲れて休日を迎えていて健全(?)だ。その反動で休みすぎな気もするけど、まあこの生活に慣れてからでしょう。土日のどちらかは、研究から離れて本とか映画とかにしっかり時間を使いたいと思う。説教臭く言うとこういうこと

 

Galileo Galilei 

活動休止前からCDも借りて聴いてたけど、特にこれが一番好き!というのが無くここまで来てた。なんならBBHFの方がハマったかも。夏botさんのガリレオに対する思い入れを見て改めて聴き直してみたら、確かにフォトハイに通じる部分がめちゃくちゃある!

色々通して聴いてたけど、活動中期のPORTALとALARMSが好きだ。エレクトロを大々的に取り入れたPORTALの中でもシューゲ色の強い「kite」と「星を落とす」が良い。このバンドは歌モノとしてしか聴いてこなかったし、実際そうなんだろうけど、改めて音を聴くとシューゲじゃん!とびっくりする。


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ALARMSに入っている「処女と黄金の旅」は一聴したとき本当にフォトハイかと思った。イントロのキラキラしたギターが本当に好きなんです......。アルバム通して和製ドリームポップの到達点という感じで、「サークルゲーム」がこんなすごいアルバムに入っていたとは。全曲いい。彼らのバンドのアルバムの中で今ALARMSが一番好きです。


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最近出たファーストテイクでの成熟感も凄すぎる。尾崎さん歌上手くなりすぎでは?一足遅れて、活動再開してくれてありがとねという気持ちになった。


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中田永一『吉祥寺の朝日奈くん』

いつだかKindleセールで買ったまま積んでいた短編集。淡〜い恋愛模様がミステリー風味で描かれてて、そのどちらにも振り切らないのが良かった。

「三角形はこわさないでおく」は中でも割と直球の青春恋愛もの。三角形を構成する3人の誰もが煮え切らない性格で良かった。ずっと曖昧なままにしておくことはできないとはいえ、ある程度曖昧なままでみんな穏やかに過ごしていける未来が提示される。

表題作「吉祥寺の朝日奈くん」のトリックには気持ちよく騙されてしまった。吉祥寺のよく知る場所がたくさん出てきて、改めていい街だなとも思った。吉祥寺でフリーターとして貧しい一人暮らしをする元劇団員の若者、サブカルとして出来すぎてる。

 

上履きゲイザー


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良すぎて笑ってしまった。確かに合唱曲とシューゲイザーって親和性高いかも。曲調や合唱という形態についてもそうだし、合唱が想起させる青春時代の鬱屈というテーマにおいても。自分にとって学生時代の合唱練習はただひたすらに退屈な時間で、確かに足元ばかり見つめていたな、というどうでもいいことを考えている。

 

colormal - 回転


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シリアスなギターサウンドが効く〜〜〜〜〜。曲自体はライブ映像も出ていて知っていたけど、音源としてめちゃくちゃ洗練されてる。リードギター・バッキングギターみたいな区別でなく、ギターとして2人とも主役を張ってて強い。RadioheadGRAPEVINEあたりへのリスペクトも感じる。

 

colormal × yeti let you notice 「Chapter 2」

行くか迷ってたけど、火曜日時点で前売りが残ってたのでチケットを買ってしまった。まあ自分への誕生日プレゼントということで。(誕生日については特に語ることがない。祝ってくれる友達がいて、それが本当に嬉しくて、それでもう十分だった。)

場所は初めての下北沢Flowers Loft。キャパ250人らしいけど体感としてはそれより狭かった。フォトハイのMav.さんがいたし、他にもFUJIとかkurayamisakaの人とか、知ってる人が何人も来てたっぽい。去年から2回くらい見かけているファンの人もいた。声をかけたりはしないけど。

お目当てのcolormalは今回も相当近い位置で見れた。イエナガさんのストラトがこんなに歪んでたっけってくらい歪んでた。2本のギターから(いい意味で)悪い音がすごい音量で出てて、回転のラストとか危険を覚えるレベルで耳をつんざかれた。美しいメロディの曲をこんなにバキバキの音で、あくまでもJ-POPとして成立させてるのが奇跡的だなと思った。今回は優しい幽霊が良かったな。まだ聴き馴染みがない塔も良い曲だなと思った。イエナガさんのシャウトからのラストがすごかった気がする。記憶はあんまりない。

共演のyeti let you noticeはまだあんまり知らなくて、なんなら歌詞がちょっと苦手な曲もあったところをいい意味で裏切られた。特に1つ目のMCを終えてからフロアの緊張がいい感じに解けた気がして、想像以上に楽しめた。音源で聴いた最新アルバムにロックとしてあんまり満足できていなかったけど、生のバンドサウンドで聴くことで印象がガラッと変わった感じがある。元から気に入っていたsilver ringやblackoutが良かったのはもちろんのこと、海風、lens、kidsあたりも気に入った。

3/28-4/16

入院

研究室に自分の机をもらった。大学に自分だけのスペースがあること、自分の研究テーマがあることに学部のときから強烈な憧れがあって、それがようやく達成されたという気持ち。いや、まだ全然これからなんだけど。サンダルとかお菓子とかマグカップとか、快適な研究室生活のために色々なものを持ち込んだ。大きなディスプレイと高い椅子、広い机をもらえたおかげで、本当に快適。D進するとしたらここでの生活が5年以上続くのかと思うとちょっと恐ろしい感じもするけど、どうなっていくのやら。

 

はるまきごはん - ディナーベル


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音作りとしては幻影EPから続くものがあるけど、歴代曲の中でもBPMが速い(そうでもない?)気がして、新鮮味があった。2番のBメロが好き。凶悪なギターソロが良い意味で異物感を演出している。東京に来たオタクと「運命」とか「リリ」に近い感じかな〜と話してた。はるまきごはんを聴くようになる前までは、「メルティランドナイトメア」あたりを一聴して感じるふわふわとしたメルヘンな感じが持ち味なのだと思っていた。だからこそそんなに食指が動いていなかったのだけど、こういう曲を聴くとそれは全く違うよなと再認識する。少女的な言葉遣いや調声と、その年齢に似つかわしくない言葉選びが混在しているのも独特な良さを生んでいそう。

 

米澤穂信『本と鍵の季節』

高校二年の図書委員二人組が、自分たちのもとへ舞い込んできた謎を解決していく「日常の謎」系のミステリー短編集。「本」とか「鍵」といったモチーフを散りばめながら、全編違う角度でトリックを暴いていくのがすごい。同時に、主人公の一人であり、語り手である堀川とは違う方、松倉のパーソナルな部分に関して常に暗い雰囲気が漂っているのも良い。主人公たちのキャラ作り的に、頭の切れる松倉がガンガン謎を解いていって、堀川は松倉にはない素朴な視点で手がかりを見出す、という描き方が正統派な気がするけど、実際は謎の解決への二人の貢献度が同じくらいなのがなんとなく新鮮に感じた。あえて取り沙汰することでもない?「ロックオンロッカー」と「昔話を聞かせておくれよ」が特に面白かった。どうしようもない問題があって、主人公が解決することはできないし解決したのかもわからないけど、とりあえずの決着がつき、その後の物語は読者の想像に委ねられる、というのが好きなんだろうね。エンディングの「友よ知るなかれ」はミステリーというよりも二人の友情の話で、これがすごくよかった。

 

青崎有吾『早朝始発の殺風景』

漫画化されていた表題作が印象に残っていたので、ふとしたきっかけで思い出して原作を読んでみた。あとから見返したら「本と鍵の季節」の後書きで青崎有吾が言及されていて、意図しない繋がりが嬉しかった。題材としても「本と鍵」に近く、高校生が主人公の日常の謎系ミステリー短編集だ。全編が擬似的な密室にいる2〜3 人の登場人物のワンシーンの会話だけで進む構成になっていてすごい。読み味がラノベっぽすぎるかなとか、真相部分の描写に引っ張られすぎてるかもといった点では米澤穂信と比べてしまうけど、これも面白かった。特に「夢の国には観覧車がない」と「三月四日、午後二時半の密室」が良い。前者はBLとして読んだけど、そうだよね......?後者に出てくる「青春ってきっと、気まずさでできた密室なんだ。」というセリフがいい。スキローを読んで感じたことが一言で表された感がある。

 

世界が終わったら


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シバノソウさん映画監督もやったんだって。すごいね。それでこのMV、我ながら単純だけど好きすぎる。上の小説含め、最近は青春作品を摂取してしんどくなるみたいなことを繰り返していてやばい。

大学院生活が始まって、「学校に通う」ということからはもう随分離れてしまったんだなということを実感している。勉強や友達付き合いの点では全く後悔はないけど、こと恋愛とか、それくらい大きな感情の動きを伴う人付き合いに関してはどうにもコンプレックスが拭えない。前にも同じこと書いたな.......。大学生活で挽回できるだろうという漠然とした望みで耐えていたものが、研究室通いが始まって、もうそういう形で自分の後悔が拭われることはないのだなと思い知らされている。真っ当な恋愛をしてちゃんと恋人でもできたらケロッと大丈夫になるのかもしれない。まあそれが簡単にできれば苦労はしないんですがね......。

少し違う話かもしれないが、人に献身的になれないということについて。人のために自分が労力を払った方がいいと思われる場面で、面倒臭さと天秤にかけてそれができないということが割とある。人を遊びに誘うのは自分が寂しいからだし、人を助けるとしたら自分にリターンがあるからだし、そもそも自分本位の行動しかしないものだという割り切りはできていると思うのだけど、そういうことを自覚するたびに、自分は冷たい人間だなと思ってがっかりする。そのガッカリ感・モヤモヤ感は、自分が100%の割り切りをできていないからなのか、割り切りはできていて、献身的になることに関する損得勘定を正しくできていないと感じることに由来するのかがわからない。わがままな悩みだと言われるのもまあわかる。

あらゆることに対して斜に構えてばかりいるのも辞めた方がいいと思いつつも、そういう姿勢が染み付いて抜けなくなってしまっているようにも思うし、そこから脱却したとして無味乾燥な人間になるだけじゃないのか?と思う。真っ直ぐで個性も強い人はすごい。もう自己紹介で自我を出す歳ではないみたいな話を友達としていて、実際そうだなとは思うけど、つまらん大人になりたくないなーという思いもかなりある。痛くなく、ちょうどよく面白い人間になれればいいんだけどね。

 


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3/24-3/27

卒業式が終わった。1ヶ月くらい前までは学部卒業に対して何の感慨もなかったのに、いつのまにか式に対する気持ちが高まっていた。卒業式以降全く会わない人が多いみたいな話もあるし、とにかく人との写真を撮るのを頑張った。サークルと学科、親しい高校同期あたりが一番気楽だし写真を撮っておこうという気持ちになるけど、3〜4年振りに話すような人たちとも撮れたのが良かった。一緒に入学して各々違った大学生活を歩んだ同期たちが再び同じ場所に集うって、シンプルにめちゃくちゃ感慨深い。では自分は入学時から成長したのかというと、全く成長できていない部分を自覚しつつも、まあ多少は成長できたのかなと……。こういう行事や写真撮影に素直な気持ちで参加できるようになったというのはあるかもしれない。それでも在学期間としては(D進するとしたら)半分にも達していない。怖いね。

 

For Tracy Hyde - "Hotel Insomnia" Release Tour「Early Checkout 」

フォトハイのワンマンライブに行った。12月の先行予約時にはそれがラストライブになるとはつゆ知らず……。ソールドでWWW Xが満杯だったけど、整理番号のおかげで4列目の中央に入れた。リキッドルームでも絶対埋まってた。

最新アルバム「Hotel Insomnia」を引っ提げたツアーなのでセットリストはもちろんそれ主体。アルバム曲前半→過去曲→アルバム曲後半という流れが美しいし正しい。リリース時から本当に繰り返し聴いていたので、感慨もひとしおだった。ライブで聴く曲は、その曲名を知っている(思い出せる)かどうかで感動が変わるという実感がある。本質じゃないようで重要だと思う。みんな大好きな「繋ぐ日の青」なんかで素直にブチ上がってしまうけど、夏botさんの一押しは「Estuary」や「櫻の園」のような耽美派シューゲイズであるということがMCからも伝わってきた。もちろん全編通して良かったのだけど、前作「Ethernity」の曲から始まったライブ後半で明確にモードが変わった気がした。自分が一番好きなアルバムであることもあると思うけど、没入感が一気に上がった。特に「Sister Carrie」を聴けて本当によかった。撮影が許されているライブで、この曲のイントロだけは絶対に収めたいと思っていて、「次来るな……」とスマホを構えたら本当に来て嬉しかった。ベストアクトは決めづらいけど、一番衝撃的だったのはその次の「House Of Mirrors」。eurekaさんがギターを下ろしたと思ったら、それがベースのMav.さんに渡ってる!シンセだけでなくベースも同期音源で、ツインギターとドラムだけの編成になった。そういえばドラムも音源では打ち込みなんだった。ZEMATISを持つMav.さんが新鮮でめちゃくちゃかっこよかったし、何と言ってもeurekaさんのボーカル中の振り?が最高だった。夏botさんの妙に上手いラップも良かった。「Sirens」然り、ボケっと音源を聴いているときにはそこまで注目していなかった曲たちの良さを確認できるライブだった。満を辞しての「Milkshake」と「Subway Station Revelation 」で演者も観客も最高潮に達した感があった。本編終了がめちゃくちゃ早く感じたけど、後から数えたらしっかり17曲やってたんだよな。アンコールでは「Can Little Birds Remember?」で「One, two, three, forever!」のクソダサい掛け声をみんなで叫び、フォトハイの始まりの曲である「Her Sarah Records Collection」で締め括られた。夏botさんが「東京で一番美しいバンド」と言っていたけど、本当に美しい終わり方だった。

終演後にメンバー全員から新譜にサインを貰い、写真を撮ってもらったけど、やっぱり上手く話せないね。めっちゃかっこよかったです!とか、House Of Mirrors最高でした!とかしか言えなかった。昨日大学卒業しました!とか草稿さんとMav.さんの後輩です!とか言えばよかったかな……。eurekaさんに見つめられたときは結構やばかった。

この機会に立ち会えて本当に良かったけど、だからこそあの4人のライブをもう一生観れないという事実を帰り道にじわじわと実感してきて、とてつもなく寂しかった。フォトハイを本格的に聴き始めてから多分1年ちょっとしか経ってないし、自分よりもずっと思い入れのある人がたくさんいると思う。それでも自分にとっては間違いなく学部生活の後半を彩ってくれた音楽だし、シューゲイズやドリームポップという新しい音楽の世界を見せてくれたバンドだった。自分の卒業や桜の開花とも重なって、なんか本当に美しい春だな〜と思う。

 

シバノソウ

フォトハイは終わっても4人の人生は続いていく。名前だけは知っていたSSW・シバノソウのバンドでMav.さんがベースを弾いていると知り聴いてみたら、めっちゃ好み!ポップなメロディを奏でる音が完全にシューゲイズ・ドリームポップの文脈にあって、夏botさんのエイプリルブルーあたりとの親和性もかなり高く感じる。季節にも合ってるし、4月にかけてはこの人たちばかり聴くことになりそうな気がしている。


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3/7-3/23

高校からの友達、サークル同期それぞれと卒業旅行に行ってきた。その行程をつぶさに書くのは野暮な気がするのでやめておく。スキローのショックが残ったまま出掛けたけど、いざ旅行が始まってみれば平気だった。その意味ではタイミングがよかったかも。
濃い人間関係が築けないことに劣等感を抱いて鬱々とするみたいなことがここ2年くらいあったけど、こういう機会があるたびにそんなに悩むようなことはないなと思う。対面で会ったことのなかった京都の友達にも会うこともできた。

坂の多い街が好きなので、長崎は本当に良かった。坂の上から見た景色が好きなのはもちろんのこと、その斜面上に出来た住宅地が特に好き。住環境としては不便なことの方が多いと思うんだけど、その土地条件のなかでできた街並みは平地のものよりも生活感を感じる。地元民しか使わなそうな細い道を見つけたときの高揚と言ったら......。坂の上の宿を出て、真夜中にたくさん散策してしまった。

旅行から帰ってきてすぐ、研究集会の関係で東京に来ていた高校時代の友達とも会った。期せずしてめちゃくちゃ卒業シーズンらしい動きをしている。外見も話し方も趣味も高校のときから全然変わっていなくて、安心感しかなかった。京都の友達と会ったときも含めて、自分もオタク的な根っこは全く変わっていないことを実感した。多分一生こうです。

 

プールと銃口

転調を多用しつつ、NUMBER GIRL周辺由来のオルタナサウンドでキラキラした青春を歌うバンド。男女混成ボーカルであることもあって尚更キラキラ感がすごい。それゆえに本来あまり受け付けないはずなんだけど、音が好みすぎてなんか聴けてしまう。


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Blurred City Lights

正統派シューゲイズを真剣にやってる。深く効いたディストーションがこれこれ〜!って感じ。日本的なキャッチーな歌メロのシューゲはもはや完成されたジャンルだと思う。めちゃくちゃ今後に期待って感じのバンド。


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國 presents「HiGAIN」

國、ayutthaya、kurayamisakaのスリーマンライブに行ってきた。会場の西永福JAMは前回行ったときにはまあまあ空きがあったのだけど、今回は整列入場が必要なほどに混んでいた。自分としては前回のライブの方が注目していたので意外だった。

國の人が奇跡的なライブと言っていたけど、自分にとってもまさにそうだった。去年の夏にハマったkurayamisakaに加え、年末頃に聴き始めた國とayutthayaが一緒にやるとは、自分のためのライブかと。

1組目のkurayamisaka、人垣の後ろの方でもガンガン響いてくる音のデカさだった。ギター3本だしね。farewellやseasonsを生で聴けたのが嬉しかったし、新曲もめちゃくちゃ良かった。リリックビデオが出てるevergreenもいいけど、modify Youthのキャッチーなギターのフレーズと男性ボーカルには新しいザカを感じた。ジャケットにめばちさんを起用してるのが天才的すぎる。


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ayutthayaはとにかく安定感が凄かった。ライブの上手さという点では3バンドの中で別格じゃないか。ボーカルのハキハキした大きい発声の仕方が気持ちよかった。惜しむらくはセトリの後半の曲を全く知らなかったこと。

國はリードギターの音がドンピシャで好き。新曲のbreezingはめちゃくちゃかっこいいし、特に最後の霖雨とアンコールのkagerouが随一のパフォーマンスだった。一曲の中での躍動が激しい曲を最後にやられるとそれだけでブチ上がってしまう。

ただ全体としては最高に没入できたライブとまでは行かなかった。それは演者のパフォーマンスの問題では全くなくて、自分があまり曲を聴き込めていなかったことや、想像以上の混雑、そして先月のライブが良すぎたことに起因していると思う。ライブに向けたチューニング次第で満足度が大きく変わるなーと思うので、週末のフォトハイの解散ライブは本当に大事にして望みたい。

3/1-3/6

ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END [Higuchi Yuko CIRCUS]

金曜に友達に誘われて行ってきた。画家・絵本作家ヒグチユウコの個展。存じ上げなかったけど、画風を見てすぐに好きだとわかった。猫をモチーフとした作品が多く、全体的にダークファンタジー的な世界観で構成されている。高密度な線の一本一本が圧倒的なディテールを生み出していて、月並みだけどめちゃくちゃ上手い。異形の生物などのモチーフや暗めの色遣いに不気味さや陰鬱さを感じつつも、キャラクターの表情や動作は限りなくピュアで、可愛いという感想が真っ先に出る。もっとグロテスクな絵が多いのかと思ってた。絵本作家であるということもありそう。擬人化というモチーフに市川春子的なところを感じたり、タッチが米津玄師のイラストに近いと思ったりと、他の好きなアーティストとの共通項を見出す中で自分の嗜好を再確認できたのも良かった。展示数は1500に及んでいたらしく、じっくり観ながら周りきったときには4時間近く経っていてびっくり。それなのに途中で疲れて集中力が切れることはなかったのはすごい。気に入った作品がいくつもあったし、なんなら会期中にもう一回行きたいくらい。

 

日曜は朝からレンタカーで運転練習として鎌倉・江ノ島へ。と言っても自分は免許を取ってから3年半全く運転していない状態だったので、正直事故を起こす気しかしなかったし、運転するということがもはや非現実的な状態だった。どうしてそんな人間を誘った?戦々恐々としながら江ノ島から鎌倉までの30分程度の道のりを走ったが、助手席のサポートもあって意外に正常な運転ができた。余裕が少し出ると楽しいなとすら思ったけど、こういう奴が事故を起こすんだろうな。ただ、最後の駐車だけは本当に手こずった。精算機にぶつかる寸前のところを車載の安全装置でなんとか助けてもらった感じ。これだけは安全な場所でちゃんと練習しないと駄目だ。
江ノ島・鎌倉自体は3年ぶりくらい?古い寺社仏閣と、海に面した自然と、そこに集まった人が作った新しい雰囲気が共存しているのが良い。帰りに温泉に入ったけど、親に連れられて温泉に行き、車内で疲れた体を癒した子供時代の感じが蘇った。

 

スキップとローファー(1) (アフタヌーンコミックス)

colormalの田井中さんが推していて、さらに今春にアニメ化するということで頭の隅に引っかかっていた「スキップとローファー」を最新巻まで読んだ。コミックDAYSで無料公開されていたのを読んでハマり、衝動的に全巻揃えてしまった。
田舎から都内の進学校へ入学した高校生、岩倉美津未の周りで揺れ動く人間関係の話。一見すると少女漫画的な印象を受けるかもしれないが、連載誌は青年誌のアフタヌーンだし、より広くヒューマンドラマを扱っていると言える。登場人物の心根が綺麗すぎるわけでも擦れすぎているわけでもなく、高校生ってこうだよな〜という等身大の姿が描かれていて、どの登場人物にも愛着が湧く。簡単に陽キャ陰キャと分類されがちな人たちも各々が色々な背景を抱えていて、それが教室という狭い空間に集められたときに、すれ違ったり意気投合したりする。友達になるかどうかは単にその環境やタイミングによる偶然でしかなくて、だからこそ、そうでなければ生じえなかった人間関係を尊いと思える。そういうリアルな人間関係の描写に惹かれて楽しく読み通したのだけど、同時にすごくメンタルに来てしまった。それはおそらく作中で描かれているようなコミュニケーションを高校時代の自分がしてこなかった(することができなかった)と感じることに起因している。高校時代にできた人間関係を不満に思っているわけでは全くないのだけど、自意識を拗らせて波風の立たない交流ばかりしてきたことに後悔の念が募ってしまう。そしてそういう人間性は今も変わらない。このようなことに悩んでも本当にどうしようもないのだけど、それゆえに読破してからずっと陰鬱な気持ちが拭えない。卒業シーズンだしね。普段はあまり気にしないんだけど、この作品を読んでそれが喚起されてしまった。さらに再読したくなっているんだからタチが悪い。助けて欲しい、本当に

 

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FUJIにようやくMVがついた。これで人に勧められるぞ