2/5-2/7

2/5

ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー

歴史改変ものが好きな上に、斜線堂有紀、小川一水、伴名練が収録されていると知れば買うしかなかった。

斜線堂有紀「一一六ニ年のlovin' life」は、和歌を「詠訳」して読む平安時代の話。それができずに宮中で立場を失っていた式子内親王がある女房と出会い、その才能を開花させていく。歴史改変の発想というよりも、式子内親王と女房の関係性や彼女の和歌の生かし方がとても良かった。一番最後にあの歌が出てきたシーンは良すぎて膝を叩いてしまった。部屋で、1人で。

小川一水「大江戸石廓突破仕留」は、おそらく今の山手線に対応する場所に大きな石の壁が築かれ、江戸の街を取り囲んでいるifの江戸時代の話。それが真に何の「if」なのかは終盤になってわかる。深掘りしがいのある世界設定で、全てが語り切られないことにもどかしさを感じもしたけど、語り口が鮮やかでサクッと読めてしまった。

伴名練「二〇〇〇一周目のジャンヌ」は、量子コンピュータを手に入れた人類によってジャンヌ・ダルクの人生が記憶を保持したままシミュレートされ続ける、いわゆるループもの。途方もない回数をループされ続ける人間の話は、本当に途方もなさすぎて少しでも感情移入すると結構精神に来てしまう。ループの中で具体的な変化が描かれると特に。最後にジャンヌが選んだ美しくも残酷な結末でノックアウトされた気分。人と会う前の移動中に最初から最後まで読み切ったので放心状態で会うことになり、「疲れてる?」と言われてしまった。

 

人と会う用事というのは学科同期との学期終わりの打ち上げ。結局いつも話している人としか話していない気がするが楽しかった。学科の中では自分が話を回す側になる傾向が少しあり、それは本当は全然得意じゃないのだけど、共有している文脈が多いのでなんだかんだ楽しく話せる(気がする)。次年度から会う機会が減るんだろうなと思うとにわかに寂しさが感じられてきて、卒業する実感も湧いてくる。

 

2/6

昨晩食べ過ぎたことによる猛烈な胃もたれ。食べ放題の加減、自分の胃の許容量がわからない。

旅程が拮抗した結果、3月の飛行機を一本キャンセルした。早割で買ったためキャンセル料が高くついてしまったのが正直痛いが、旅程を組む下手さ(というより後回し癖)が悪い。同行者の事情により仕方のなかったところもある。新たな移動手段の予約とか、未定の宿泊場所とか、決めるのが面倒!

 

岸政彦『断片的なものの社会学

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原宿さんが推しているのを見て思わず買ってしまった。社会学者である筆者が調査の中で出会った人々の、社会学的な分析をすり抜けてしまう無意味な語りにこそ、かけがえのなさが宿るという話をしている。帯やまえがきを読んですぐに、「ありスパ」の「いる人」や「あの事件」や「記憶」のことだ......と思ってしまった。

1/3くらいを読んだ。ここで紹介されている話のそれぞれは本人にとっては何気のないことかもしれないが、その人が語ったままの形で提示されることで、何か劇的なものに見える。自分の生活の裏でそんなことが起きているという事実が整形されたストーリー以上に直で伝わってきて、圧倒されるというか恐ろしくなるというか。街ですれ違う一人一人に固有の人生があることを想像して狂いそうになるみたいな話。同時に、友達や家族との時間の無意味な断片をこそ大事にしたいとも思わされる。生活の行く末の可能性が広すぎること、将来の不透明さに対する不安みたいなものも手伝って、友達と話したくなった。部屋にこもっていると暗い気持ちになってきて良くない。外に出て人と会おう。

カネコアヤノの「タオルケットは穏やかな」のワンフレーズが気に入りすぎて、この本と符合する部分も感じてずっと脳内再生されている。


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2/7

色々と立て込んでいた書類周りの提出がようやく終わった。明日からのセミナー合宿の準備も大体終わって一息ついた感じ。来週締め切りの予稿を出せば本当に春休み。

セミナーで読む論文で大気放射学の記述が全然わからなくて、積んでいた教科書を開いた。久しぶりに紙のノートを取りながら読んでみたが、書くスピードや心地良さは圧倒的にiPadを上回っていて、なんだかんだフィジカルなものに適した人間なのかなと思う。

着実に気温が上がってきている。買い換えるタイミングを逃したまま着続けている冬用のアウターを手放したいので、早く春になってほしい。冬物が安くなっているとはいえ、今買い換える気力や勇気はない。

PSYCHO-PASSがアマプラで観れるようになっている。少しだけ見返したが、なんでこんなに面白いんだろうと思う。中学生で初めて観たときに衝撃を受けすぎて、今の趣味嗜好の一つの基盤になっていることは間違いない。